経験からわかること

小休止のすすめ 運を呼び込む「人生の休み方」の極意 (SB新書)

 こちらはヒロミさんのお話。共感したところです。

 

P173

 できないのか、やらないのか。結果は一緒でも、やらないよりも「やってみたけど、できなかった」の方が何倍もいいと思っている。やってダメでもプロセスからはたくさんのことが学べる。

 できなかった理由がわかれば、次のどうすればいいのかが見えてきて、もう1回チャレンジするか、本当に無理だからやめておくのかの判断も付く。一番気に入らないのは、やりもしないのにやった雰囲気でいろいろ言うヤツだ。やらないヤツに限って、「直感で決めて大丈夫ですか?」と利いた風なことも言う。

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 ・・・直感を信じて動いている人はチャレンジしている回数が多いから、巡ってくるチャンスに気づく確率も高くなっていく。さらに、周囲は想像以上にその人の取り組む姿勢をよく見ている。動いているヤツは応援される。応援されるヤツのところには当然、チャンスが多くやってくる。

 

P179

 トレーニングジムの経営は、3人からスタートして、多いときにはスタッフが30人を越えていたこともある。・・・

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 当初、僕は彼らに場と時間とお金を投資しているのだから、一人でも多くのトレーナーがエース級の存在になり、貢献してくれることを願っていた。しかし、3,4年すると他の店に移ったり、独立したりの繰り返し。スタッフから「お時間いただけますか?」と言われたら、それは100%辞める話だ。

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 そんな経験を繰り返すうち、チームにはずば抜けてすごいヤツがいてもあまり意味がないと思うようになった。ほどほどのヤツがいっぱいいた方が、現場はうまく回る。一人のエースに頼った状態になると、周りが育たない。・・・

 これは自然の中を歩いているときも感じる。山にはたくさんの木が生えているが、立派な巨木があるとその周りには林が育たない。生い茂った葉が光を遮り、他の木に必要な栄養を巨木が持っていってしまうのだ。

 林を育てたいのなら、大きな木を切らなくてはいけない。その方が林は育つ。小休止中、山に行くとそんなことばかり考えていた。社会と同じだと思いながら、自分のジムを振り返ると、当時はトレーナーの中にスターが生まれてしまっていた。

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 山を歩いていると、落雷に遭って燃えた木を見かけることがある。雷が落ちるのは、周りに比べて高く、ぽつんと生えている木だ。自分だけと伸びていくスター、エースには雷が落ちる危険性がある。小休止後の僕は、チームの一員として機能すること、バランスを取ることを大事にしているのだ。