ベーシックインカムについて

疑う力 「常識」の99%はウソである

 この考えは、共感して読みました。

 財源については、他にもっといい選択肢があるといいなぁと思いますが。

 

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 ・・・僕は、公的年金はだんだん縮小しながら解消を目指し、ベーシック・インカム社会保障を統括するのがベストな選択だと考えている。財源は消費税でまかなう(そのためには北欧なみの大幅な消費増税が必要だが)。

 ベーシック・インカムを導入するためには、既存の社会保障制度を「ガラガラポン」(総リセット)で撤廃しなければならない。そのうえで、富裕層にも一般庶民にも一律のお金を政府から支給するのだ。障害者手帳をもっている人や困窮世帯には、ベーシック・インカムとは別に、生活を保護するための手当を支給すればいい。

 北欧・フィンランドでは、すでにベーシック・インカムが試験的に導入されている。スイスでは国民投票ベーシック・インカム導入が否決されてしまったものの、人口1000人ちょっとの村で実証実験の準備が進んでいる。

 人口1億人の国で、いきなり全国民を対象に実施するのには大きな政治決断が必要だろうが、小さな自治体であれば、首長の判断で試してみるのもいい。・・・

 ネトゲ廃人や引きこもりを、無理やり家の外に引っ張り出して働いてもらおうとしても、そう簡単にはいかない。キツい肉体労働や危険な仕事、単純作業以外に働き口がみつからない人だっている。ハローワークなどの就労支援サービスや職業訓練のコストだって、バカにならない。

 それならば、ひとまず最低限の生活ができるベーシック・インカムを一律で支給し、そのうえで働きたい人にだけ働いてもらったほうが合理的だと思う。

 もちろん仕事とは、たんにお金を稼ぐためだけにやるものではない。汗を流し働いて得たお金で家族を養えば、「自分は家族を守っている」という自信になる。誰かが感謝してくれたら、「自分も社会に貢献できるんだ」という喜びにもつながる。しかし、いわゆる「仕事」が向いていない、という人は、無理して働かないことが、社会貢献につながる可能性もある。なぜなら今は、好きなことだけやって生きていける時代だからだ。

 彼らにはむしろ、「社会にとって役に立たないこと」をどんどんやってもらいたい。政府から支給されたベーシック・インカムを使って面白いアプリやゲームを開発したり、キャンプやバーベキューなどのイベントを企画してもらったりする。いわゆるサラリーマン的な働き方とはほど遠いから、遊び呆けているようにしかみえないかもしれない。それでいい。遊び人のように好きなことだけ追求する人たちが、世の中を今よりもっと面白くしてくれると思うのだ。

 具体的には、経済評論家の山崎元氏が提唱する「スモール・ベーシック・インカム」がいいんじゃないか、と僕は思う。このシステムでは、生まれたての0歳児を含め全国に一律で最大5万円を支給する。これを導入すれば児童手当をバージョンアップしたかたちとなり、少子化を解消するための大きなインセンティブにもなる。

 ベーシック・インカムを導入すれば、社会保障制度の維持にかかっている膨大なコストをいっぺんに減らすことができる。現状では、不正受給の問題などもあって、本当に困窮している人が生活保護を受けようとしても、ハードルが高かったりする。・・・無条件で一律支給されるベーシック・インカムは、複雑な事情を抱えた人たちへのセーフティネットにもなる。・・・