友達

うたがいの神様 (幻冬舎よしもと文庫)

 この、友達ができた、という話も印象的でした。

 

P70

 この年になって、友達ができると思ってませんでした。

 以前、「市川海老蔵がやりたいことをやる」という番組があって、海老蔵が、「千原ジュニアに会ってみたい」と言ってくれて、そこに呼んでもらったんです。その番組の収録が完全に初対面だったんですが、会って話してみると、向こうのほうが年下だとか、どっちが先輩、後輩という感じがまったくない。「あぁ、こいつ好きやなぁ~」と思ってたら、収録の後、普通に二人で飲みに行って仲良くなって、そこからちょくちょく会うようになりました。

 海老蔵とはうまが合うというか、逆に「合わへん人もいっぱいいんねやろなあ」というのが分かる。僕もそうですから。

 それから、言ってることとかやってることが、〝置きにいってる〟感じがまったくない。周りの様子を見たりせずに、自分の感覚をフルスイングで押し出してくる、そこが好きですし、一緒にいて気持ちいい。一緒にいたら、僕もほんま頑張らなあかんなぁってなりますからね。刺激をもらう部分もあるんだと思います。

 ・・・

 僕は15歳でこの世界に入ったので、友達はほとんどいないです。・・・中学で僕は、ものすごい気持ち悪がられてたから、それまでにも友達なんかできてない。でも、一人だけ僕にしゃべりかけてくるやつがいて。小説では「アイツ」という書き方で出してますけど、この間うちのオカンから電話がかかってきて、・・・妹さんが・・・「お兄ちゃんが結婚するんで、サプライズで祝電を送ってもらえないか・・・って言いに来はったで」と。

 それなら、祝電と言わず、コメントをビデオで撮って送るって、送ったんです。そうしたら、またオカンから電話があって、「直接本人がありがとうございましたってお礼言いに来はったし、携帯番号教えてほしいて言うから教えたよ」って。その後、ほんまにそいつから電話がかかってきた。20年間も会ってないから僕はすっごい緊張して、「20年ぶりに友達と話すってどんな感じやろ?」って思ってたら、「おお~ありがとうなぁ!」とか言って、中学の頃とノリが一切変わってない。

 ・・・僕は35年生きてきて、ようやく友達が二人できました。