常識って・・・

つい話したくなる 世界のなぞなぞ

 タバコがそんな風に扱われていた時代があったんですね。

 あまりにも今と違い過ぎてびっくりでした。

 

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中国

Q. 生では美味しくありません。煮ても美味しくありません。片一方を焼いて、片一方を吸って、やっと美味しくなるもの、な~んだ。

A. 「タバコ」。

 

 現在、世界で一番タバコを吸っているのは、中国の人たちです。・・・もちろん人口が多いのもありますが、なにより「タバコは皆で勧め合って吸うもの」という文化があります。・・・もちろん中国でも「喫煙反対」運動はあるのですが、なかなか広がっていないのが現状です。

 タバコが世界に広まるきっかけをつくったのは、あのコロンブスです。

 1492年にコロンブスが新大陸アメリカに到着し、やがてそこから世界へ「こんなに香り高い植物があります」と紹介されました。・・・

 ・・・タバコはその後またたく間に100年ほどで世界各地を席巻しました。日本も例外ではありません。1600年前後(関ヶ原の戦いの頃ですね)には、日本でもタバコが栽培され始めた記録が残っています。

 タバコが世界中で広まったのは、嗜好性が高かったこともありますが、なんと言っても「万能薬」としてでした。頭痛を治し、リウマチを治し、またペストや癌にも効くとされ、医者も太鼓判を押す「手軽に入手できる万能薬」でした。

 実際にイギリスの小学校では、病気予防のために休憩時間に生徒たちがタバコを吸うことを義務付けられていたほどです。家からタバコを持たされ、先生の合図で一斉に煙草を吸っていました。今と全く逆な感じですが、時代によって「正しい事」って変わるんですねぇ。

 タバコ=薬&嗜好品、そんな時代が19世紀まで続きました。タバコは健康に良いとされる世界中の人々が愉しむ手軽な娯楽でした。吸いたいのにどうしても吸えない場所、例えば「炭鉱」とか火気厳禁の場所でも吸えるようにと、「噛みタバコ」が開発されるなど、ホントにみんなが大好きな商品でした。

 あまりに皆が沢山吸う嗜好品だからこそ、多くの国家が「国家の独占商品」にして税金をかけ、貴重な財源にしたのはご存知の通りです。

 そして、20世紀後半になってから、タバコの害が喧伝されるようになり、現在は「健康の敵」として集中砲火を浴びています。医学界の常識は時代によって変わるとはいえ、もしかつてのイギリスの小学生達が見たらビックリするかもしれませんね。「あれ、身体にいいからと、先生の合図で皆で一斉に学校で吸っていたのに」と。

 タバコは「身体に悪い」とされていますが、ほんとに悪いのは「常識」かもしれません。