異端のススメ

異端のススメ

 常識って・・・という話につづき、こちらもちょっと似た路線の対談です。

 林修さんと小池百合子さん、組み合わせがおもしろい、読んでみたいなと思って手に取りました。

 こちらはあとがき部分です。

 

P182

『人と違う一歩を踏み出す小さな勇気』 小池百合子

 異端か、正統かを決めるのは「時代」以外の何物でもない。その時代に、どちらがマジョリティーを占めたか、だけの話である。・・・ビートルズの長髪も「男のくせに、なんだ」と非難されたが、後に世界の若者の文化を変えた。・・・

 わが国は世界の中でも高度のホモジニアス、同質社会だと言われる。・・・理由づけはさまざまあれど、他の人と同じであることで心の安寧を見出しがちである現実は否定できない。

 同質性が戦後日本の高度経済成長を牽引してきた。「あなた、お隣はテレビをお買いになったのよ。うちは?」・・・

 しかし、いったん流れが変われば、話は変わる。ただ「隣の人と同じ」であることだけでは、なんの保証もない。よい時はよいが、まずくなれば、皆で奈落の底。・・・

 ・・・

 異端であることは、時代の先取りであり、時代のイノベーターである。意識的であれ、現実に迫られた結果であれ、人と違う一歩を踏み出す小さな勇気があなたを、そして日本を動かすかもしれない。

 

『改めて「異端」について考える』 林修

 本の制作が進むなかで、編集者の方から「タイトルは『異端のススメ』でどうでしょうか」という提案がありました。そうか、僕のやってきたことは『異端』なんだな―これがそのときの率直な感想です。

 昔、東進ハイスクールで個人名の冠せられた特設単科という講座を担当していたことがあります。そのときのタイトルが「林修の『現代文の正統』」、つまり「異端」の対極です。自ら「正統」を自称していた人間の、生き方自体は「異端」と人に評されるものであった―このギャップがなんとなく愉快でした。・・・

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 この本を読んでくださった方なら、ご理解いただけたと思うのですが、『異端のススメ』だからと言って、むやみに人と違ったことをやれ、と言っているのではありません。この厳しい時代にあって、自分と向き合い、さらには小池さんが何度もおっしゃったように自分を「俯瞰する」冷静な目を備えて、進むべき道を考えるにあたって、自分らしさを活かしやすい、「ブルー・オーシャン」を探すべきではないかという提言をしたつもりです。・・・

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 ・・・ひ弱さを感じている今の男子には、この本で書かれているような生き方もあるんだよ、ということを伝えたいとも思っています。もっと胸を張って、自分らしさを追求するなかで、人に「異端」と呼ばれようがかまうものか、僕にとってはこの生き方が「正統」なんだ―この本が、そんな自信を、強さを備えるのに役立ってはくれないだろうか、それがかつて「正統」を自称した男のささやかな願いです。