窮屈に生きない

原節子 あるがままに生きて (朝日文庫)

 こんな面もあったことを知り、しっかり軸のある方だなぁと思いました。

 

P231

「今の若い人たちの気持、あたしにはよくわからないけど、お酒も呑まず、煙草も吸わないなんて人だったら、却って窮屈なんじゃない?あたしだったら……たとえばよ、その人が結婚前に少しくらい品行が悪くてもそう気にならないと思うけど、品性の悪い人だけはごめんだわ。品行はなおせても、品性はなおらないもの」

 これは『小早川家の秋』のなかで、原節子演じる秋子が、結婚相手のことで迷っている義理の妹(司葉子)へ語る台詞です。原自身が個人的に話した言葉ではありません。しかし、この言葉も原の言葉のように思えてなりません。・・・

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 ところで実生活の原は、酒やタバコを口にしたでしょうか。

 原は酒やビールが好きでした。・・・

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 亡くなった兄の会田吉男は、原が晩酌にビール一本、二本平らげ、その結果お喋りになる、と述べています。原がビール好きだったことはよく知られていました。小津監督はそのことを熟知していたので、『麦秋』や『秋日和』で、原がビールを美味しく飲むシーンを用意したようです。・・・

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 大体わたしは作品の少ないほうなんですけれど、それにしてもめずらしいくらい遊びました。遊ぶ方がクセになってしばらく仕事になじめないのじゃないかと心配です。マージャンもやりますよ。久我さん、中北さん、若山セツ子さん、沢村貞子さんなどが相手。腕前?人並みです。 (『内外タイムス』一九五八年九月二十二日)

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 原はこのように麻雀もよくすると話しています。彼女の麻雀相手は共演したことのある女優が多かったようです。・・・

 こうしてみてくると、実生活の原は、『小早川家の秋』で秋子が話す「お酒も呑まず、煙草も吸わないなんて人だったら、却って窮屈なんじゃない?」という台詞を実践しているかのようです。・・・