様々な業界のサービスの達人のお話が聞ける本、面白かったです。
ここはちょっとしたことに思えますが、なるほどと思ったところです。
P224
化粧品の種類は無数にある。・・・客は共感してくれた誰かに自分に合う商品を見つけてもらいたいのだ。・・・
・・・
「お客さまは『私に合うものを教えてほしい』とおっしゃいます。なかには、『私は何を買えばいいんですか?』と訊ねられることもあります。
考えてみたら変なんですよ、私はお客さまの親でも子でも友達でもありません。初めて出会った人が何が好きなのか、何を買えばいいかなんて、私にはちっともわからない。でも、お客さまに聞かれたら何か答えなくてはいけない。
いろいろお伺いしていくしかありません。お好きなものは何ですか?好きな洋服はなんですか?好きな色は何ですか?
最初のうちはお客さまが好きなものは何かを一生懸命、突き止めようとしました。でも、ダメ。お客さまは洋服でも化粧品でも好きなもののイメージはない。人は自分が何を好きかは実はわかっていません。だいたい、自分の好みがわかっていたら、すでにそれを買っているはずです。自分が好きなものがわからない。自分がこういう風にきれいになりたいというイメージはありません。
そこで、私は考えました。お客さまの好みはどうやったら見つかるのだろうって。
結果、『嫌いなものは何ですか?』と訊ねることにしました。嫌いな化粧法はありますか?と聞いたら、派手なのはいやとか、暗い色はいやと答えが返ってきます。嫌いなものをいくつか聞いていって、好きなものを想像します。そうして、この商品はいかがですか?と手を動かしてメイク指導をします。それが私がやっていることです」