鈴木さんの夢

 ガイドラインズから戻りました。

 今回は10名という少人数だったので、あっという間にみなさん馴染むことができました。いっぱいお話できてうれしかったです。

 5日目にはきれいな満月が見えて、そして最終日、帰りの電車から虹が見えました♪ガイドさんたちからの贈り物ですね~(*^-^*)

 

 ではでは、途中になっていたこの本のつづきを・・・ここも、いいな~と思いました。

TOKYO0円ハウス0円生活 (河出文庫)

 

P282

「坂口さん・・・私には……夢があるんですよ・・・うちにはリヤカーがあるじゃないですか、・・・で、そこに家を作ろうかなと・・・そして、垂れ幕を張ろうかなと」

「はい?」

「日本一周敢行中!!!」

「なるほど!」

「これでもうホームレスとか、そういう問題じゃなくなるだろ・・・そうやって、ミーコと旅しながら日本のすべてを回るっていうのはいいだろうなーと思っているわけですよ」

 ・・・

 価値観を転換しようとしている。路上生活者から、リヤカー日本一周の挑戦者へと。鈴木さんの思考は永遠に止まらないだろう。

 ・・・

「この前までアルミ缶をくれていたマンションの清掃員が社長命令で缶をあげられなくなったと言ってきたよ」

「世知辛いですね」

「いやいや坂口さん。捨てる神あれば、拾う神ありよ・・・その日、ちっとも拾えなかったなーと落ち込んで帰ろうとした時にね……最後のゴミ捨て場で缶を拾っていたら、1人の老人が出てきてね、いつも頑張っているねと声をかけてくれたんだよ」

「奇跡が常に起こりますね、鈴木さんの周りでは」

「そうなんだよなー、本当に。それで、その人は喫茶店のマスターで店の前のゴミ捨て場でいつも拾っているのを見ていたらしいんだよ。それで仕事ぶりを見て感心していたらしい。それで、空き缶をオレのために取っておいたと言うんだよ。全部で8袋もくれたよ。マンション駄目になったのに、取り返したよ。不思議だね、本当に」

 僕はそれが本当の世界の姿だと思った。本当の世界は人と人が面白くつながるものである。

「そして、その人は内緒だよと言って、缶ビール1本くれたんだよ。うまかったね」

 偶然は必然で、ピンチはチャンスである。

「いやぁ、生きるってのは本当に面白いよ」

 鈴木さんは笑って僕にそう言った。