結果に対する思いももちろんあると思いますが、自分がここまでやった、というものがあると次につながるというお話です。
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原田 ・・・選ばれなかった四年生に対して、今後のモチベーションを持たせるような言葉を監督から言うことはあるんでしょうか?
原 ・・・レギュラーになれようがなれまいが、自分自身がここまでやったというものを部にいる四年間で培ってほしい、それも含めて箱根駅伝なんだよという、ちょっとくさいセリフは言っているんです。
そもそもうちの部は、タイムが良い奴が偉い奴だという運営はしていないというのが根底にはあって、私はそれをずっと言い続けています。だからレギュラーにはなれなくても、精一杯自分の立ち位置を理解して全力でやり抜くことが、次のステージに行けることになるんだよという話はします。・・・
原田 大学の部活の監督なのに、監督は常に「社会人」になった時の話を学生にされていますね。・・・
原 ・・・結局、大学時代というのはたった四年間だけのことで、それからの人生のほうが圧倒的に長いわけです。学生時代に必死で努力して、でも結果として箱根には出られなかったとしても、そこでのプロセスは絶対に次のステージで生きてくるはずだと思うんですよ。途中であきらめて、オレはいいやと中途半端に流してしまうと、そうした経験を得ることはできません。
自主的に考えさせるとか、プレゼンをたくさんさせるというのも、陸上部という組織として強くなる、個々の陸上選手として強くなる、という目的だけではなくて、将来、彼らが違うステージに行ったときにも必ず意味があると思うからやらせているわけです。・・・それは実際に私が数十年前に陸上選手を引退したときにハッと気づかされたことです。同期とは遅れて社会に出て、何もない自分に気づかされた。言葉は持ってない、考える習慣もついていない。何だったんだオレの陸上人生はと思ったんです。彼らに同じ思いをさせたくないというのがありますね。
・・・青学陸上部の活動も、箱根駅伝も、あくまで人生を豊かにするためのたったひとつの小さなツールなんですね。