一人で過ごす

神はテーブルクロス (幻冬舎文庫)

私も一人で過ごすのが好きなので、共感して読みました。
一人の時間があるって、贅沢なことだなと思います。

P154
 一人で過ごすのが好きである。
 僕は職業柄、社交的、外交的にみられるが、どちらかというと内向的部類に属すかもしれない。皆で過ごすのは嫌いではない。しかし一人で旅をしたり、映画を観たり、釣りをしたり、散歩をしたりするほうが日常的である。
 ちなみに一人でトイレに行くのも好きだ。あたりまえだ。
 なぜにこう一人で過ごすことが多いのか検証してみた。
 まず僕はいろんな意味で自由業である。毎日、朝起きると喫茶店でモーニングを食べながら読書をする。そして、その後とりとめもなく散歩をして、また喫茶店に行き原稿を書く。格闘家として試合が控えていた時期は、ここに二〜三時間の練習が入った。
 もちろん友達のほとんどが社会人なので、朝起きて「一緒にモーニングを食べに行こう」とは誘えない。たまにニート系列の友人と遊ぶのだが、彼らは夜行性なのか、日が出ているあいだはなかなか出てこない。
 そんなワケで、趣味の読書を中心にほとんどの時間を一人で過ごすことになる。
 孤独だと思われるかもしれないが、自分としては決して孤独ではない。
 孤独というのはある種、精神的な在り方であり、物理的に一人だからといってそれには繋がらないと思う。常に誰かと一緒にいたがる人はむしろ精神的孤独を常に感じているから、余計ににぎやかにしたがるのではないだろうか。
 もちろん仲間と一緒にいても楽しいし、勉強になることもたくさんある。しかし、一人でいる時間を一日に少し作るだけで、心豊かな本当の世界が広がっていく。
 沈黙の力を感じれば、沈黙から答えが生まれてくる。・・・