ばななさんの日記から

大人の水ぼうそう―yoshimotobanana.com 2009 (新潮文庫)

よしもとばななさんの日記、なんとなくさかのぼって読んでます。
印象に残ったところのメモです。

P127
 ウィリアムズが「ばあちゃんはすごくスピリチュアルな人だったが、イモのウォッカを作って朝からずっと飲んでいたし、肉もがんがん食べた。右脳と左脳両方を使う人は、生きにくいので、酒やドラッグや肉や、そういうものがどうしても必要なのだ。しかし中毒することはないのだ。おばあちゃんは自分が死ぬ日がわかっていて、みんなを呼んでさよならディナーをして、みんなでモンゴルの服を着て、楽しくごはんを食べて、おばあちゃんはさようなら、とベッドに入り、朝死んでいた、完璧だった」と言っていた。そういう生き方、そして死に方がしたいなあと思った。

P166
 清志郎の「気の合う友達って たくさんいるのさ 今は気付かないだけ 街ですれちがっただけで わかるようになるよ」という歌を聴いて、そうだ、きっとそうだ、今はつらいけど、きっとそうなるんだ、と思ってから、ほんとうに気の合う人たちを見つけるまで少しのギャップの時代があった。つらかった。それは他の誰でもない、自分を調整する時代だった。目の前の人にこびてそれなりの時間をつぶす(そうしていると時間だけがどんどんたってしまうし、自分の見た目もそのグループに埋没する)のではなく、たとえ今ひとりぼっちになっても、気の合う人を見つけるまで、自分のありのままでふんばるんだ、と思った。そこで信じることをやめなかったから、そんな人たちにもめぐりあえたのだろう。

P224
 四十五にもなって、もう人に気をつかうのはいやだ、もう自分の体にいいことしかしないと決めて、ファンデーションを使わず、朝は顔も湯で洗うのみ、ローズ化粧水にどくだみとアロエを足したものだけをばしゃばしゃ塗って、自分で作ったオリーブ&ローズヒップヘンプ&ラベンダーのオイルのみを数滴塗り、日焼け止めだけ塗るという毎日を続けていたら、意外にこれまでのいつよりも調子がいい。なんてことだ!

P329
 飯島奈美さんと「AERA」の対談。
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 サンドイッチをあんなにおいしく作るなんて、いったい!と質問したら「マヨネーズを極力使わない、だって、サンドイッチって気を抜くとみんなマヨネーズ味になるから」とさっぱりと男らしく答えた。
 飯島さんのいちばんのすごさは「自分は間違っているのでは、だめなのでは」と思わないことだと思う。それは謙虚ではないという意味ではなくて「だめだったら、こうすればいい」と常に男らしく言い訳なく動き続けていることだ。・・・彼女は彼女を実現したくて仕事してるんじゃなくて、味の秘密をただ探検してる、それもすごい。