もっと感動的なお話がいっぱい載ってるのですが、ここは自分のために書きとめておきたかったところです。
めんどくさいな~とか言ってないで体を動かそう、と思いました(;^_^A
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七十八歳まで現役で働いたばあちゃんだったが、実は六十五歳の時、市役所の人がやってきて、
「おばあちゃん、ぼちぼち定年ですね」
とおっしゃったらしい。
掃除婦といえども、佐賀大学の準職員的な立場だから、市の管轄なのである。
別に理不尽な解雇なんかではなく、正当な言い分なのだが、ばあちゃんは頑として首を縦に振らなかった。
「いいえ。私はお金がもらえなくても毎日、行きます。身体のために。どうぞ、クビにするならしてください」
そう言われても、毎日、掃除に来られたら、給料を払わないわけにはいかないではないか。
でも「身体のために」というのは、よく言ったものだと思う。
ばあちゃんは、よく寝ることが最大の健康法だと信じていたのだが、
「汗水たらしたら、よく寝れる」
と言って、身体を動かすことを苦にしなかった。
バスで三十分かかるようなところにも、二時間かけて歩いて行ったし、仕事の生き帰りと掃除で、毎日、軽く6キロは歩いていた。言われた通り、六十五歳で仕事をやめてしまっていたら、スポーツ選手と同じで、急に身体がなまってしまったに違いない。
ばあちゃんは、九十一歳で天寿を全うしたのだが、晩年の二年ほどは寝たり起きたりの繰り返しだった。
ある日のこと。
お見舞いに行くと、
「早く、お迎えに来て欲しい」
珍しくしおらしく言うので、
「ばあちゃん、そんなこと言わないで、もっと長生きしてよ」
と励まして家を出たのだが、ちょっとした忘れ物を取りに戻ってみると……
「一、二、三、四、……」
そこには鉄アレイを手に、筋トレに励むばあちゃんの姿があった。
本当に、どんな時でも身体を動かすのをやめない人だった。(?)。