創造性とずる

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

創造性とずるの関係です(^_^;)
皮肉な笑いを誘う内容ですが…

P223
 ここまでの実験で、人は創造的な思考状態になると、ごまかしの量をやや増やすように思われた。実験の最終段階では、創造性とごまかしが、現実世界でどのように相関しているのかを調べることにした。わたしたちは大手広告代理店の協力を得て、従業員の大多数に道徳的ジレンマに関するアンケートに答えてもらった。たとえば「あなたが経費報告書を水増しする可能性はどれくらいありますか?」「プロジェクトが全然はかどっていないのに、上司には進んでいると報告する可能性はどれくらいありますか?」「職場の備品を家に持ち帰る可能性はどれくらいありますか?」といった質問を並べた。それから会社での所属部署を尋ねた(経理、コピーライティング、営業、デザインなど)。最後に同社のCEOから、各部署で創造性がどれくらい必要とされているかを聞き出した。
 こうして従業員一人ひとりのふだんの道徳的傾向と所属部署、そこで要求される創造性の水準がわかった。このデータをもとに、各部署の従業員の道徳的柔軟性[道徳を曲げる傾向]をはじき出し、彼らの柔軟性が、仕事で要求される創造性の度合いとどのような関係があるかを算出した。結果はどうだったか?道徳的柔軟性の水準は、所属部署で要求される創造性の水準と密接に関係していた。デザイナーとコピーライターが、道徳的柔軟性の水準で最上位に位置したのに対し、経理担当者は最下位だった。「創造性」が職務内容に含まれるとき、人はこと不正行為に関しては「やっちまえ」と思いがちであることがわかった。
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 ・・・創造性は、新しい手法や解決策への扉を開くことで、問題解決能力を高めてくれる。・・・
 だが、・・・創造性は、厄介な問題を解決する斬新な方法を生み出す助けになるのと同じように、規則をかいくぐる独創的な方法を生み出し、情報を自分勝手な方法で解釈し直す助けにもなる。創造的思考をはたらかせることで、欲張りな願望をかなえる口実を思いついたり、自分が悪漢ではなくいつも英雄であるような物語を創作することができる。もし不正へのカギが、ごまかしから利益を得ながら、自分を正直で道徳的だと考える能力にあるのだとすれば、わたしたちは創造性のおかげでもっと「よい」物語を―もっと不正なことをしても、自分をすばらしく正直な人物だと思い続けるのに役立つような物語を―紡ぎ出すことができるのだ。
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 ちなみに、前に言ったかどうかわからないが、わたしは自分のことを信じがたいほど正直で、しかも創造性が高い人間だと思っている。

 ところでパソコンからちょっと離れるので、ブログお休みします。週明けに再開予定です。
 いつも見てくださって、ありがとうございます(*^_^*)