努力するとか、精一杯頑張るとか、こういう姿勢でできると素晴らしいのだよなと思いました。
P88
仕事としての執筆は、自分だけがわかればいいというものではありませんから、修正を加えて、書きたいことが他の人にも理解してもらえるよう努力します。自閉症という障害を抱えているので、他の人の感覚とずれていないかをいつも注意しています。ひとりよがりな文章は、読む人を不快にさせてしまうからです。
作家という職業は、自分の思いを伝えること以上に、ひとつの文章からたくさんのことを読者に想像してもらう、それが重要だと感じています。
P95
僕もみんなのように話したい、どうして話せないのだろうと出口のないトンネルをさまようように苦しんだ後、もう何をやってもだめだと絶望したことがあります。しかし、出口を探すのをやめ暗闇で目を凝らせば、すぐ側に新しい道があることに気づいたのです。
トンネルから出ることは難しくても、歩く道は、これで終わりではないはずです。話せないことが障害だと決めつけなければ、人生に行きづまるほどの苦悩も、それほど深いものではありません。
周りを見渡してみても、言葉が話せるからといって、みんながみんな自分の気持ちを充分に伝えられているわけではないようです。余計なことを言ってしまったり、勘違いされたり、それぞれ苦労しています。
自分が置かれている環境で、精一杯頑張ることが大事なのではないでしょうか。