すごい迫力(笑)

ど・スピリチュアル日本旅

沖縄の「伝説のオバアスナック」に行った話です。
すごい生命力というか、なんというか、いいなーと思いました(笑)

P197
 店の表には、濃いピンクのネオン「スナックしのぶ」がエロチックに輝き、怪しげなオーラを醸し出している。古びたドアを開けると、昭和ムードの漂う、一見フツーのスナックという感じだ。
「あら〜、いらっしゃ〜〜い」
 甘〜い鼻声で出迎えてくれたのは、ばっちりメイクでキメた、77歳のしのぶママ。・・・
 ママの相棒は、御年80歳(!)のホステス、ミッちゃん。
 ・・・
「ずっとホステスを?」と聞くと、ママは語尾は伸ばすものの16ビートの早口で言う。
「お店が立ち退きにあって、一回は足を洗ったのよ〜。で、社交ダンスしたりカラオケしたりカチャーシーして遊んでたさぁ。でも、毎日お酒呑んで遊んでると、お店とやってることは変わらないのに、お金ばっかり使うでしょ〜。だから、趣味と実益を兼ねて、70歳でまたお店始めたのよ〜。働かないと、ビールもおいしくないしねぇ」
 なんとママは水商売を引退後、あり余る元気を持て余し、古希にしてスナックを再開したというのだ。
 超笑い上戸のミッちゃんは、さっきから話の流れは一切無視で、林家パー子みたく「ヒャ〜ハハ!」と声を上げてはパチパチ拍手している。大のビール党だというミッちゃんは、客に「頂いていいですか?」みたいな確認もなく、店内価格1本千円(!)という高額な瓶ビールを勝手に開けては、手酌でジャンジャン呑んでいる有り様。
 ・・・
 ママはものスゴい勢いで話しかけてくるものの、酔えば酔うほど沖縄訛りが強くなり、半分も意味が分からない。何度も聞き返してようやく、数年前に夫と死別し、とっくの昔にお子さんたちも成人していることが分かった。
「ふたりとも、メチャメチャお元気ですね〜」と感心すると、「私らは人間じゃないのさ〜」とママが豪語する。人間じゃないなら、アンタら、いったい何者なんだ!?
 何も食べずに来たので腹がへったなぁと思っていると、気を利かせたママが言う。
「うふっ。今日は特別にお寿司があるのよぉ」
 え、お寿司が出るの!?なんか、高級スナックっぽい感じ〜。
 だが、「食べてね〜」と言ってママがテーブルに置いた寿司は、スーパーの半額シール付きの、盛り合わせパックだった。夢を見せてくれるハズのスナックで、生活感、丸出しすぎじゃん!せめて皿に入れ替えようよ!
 ・・・
 店に来た客に対して、自分のやりたいことをし、自分のしゃべりたいことをしゃべり、自分の呑みたい酒を呑む店、「スナックしのぶ」。ここは、女帝しのぶが経営する治外法権で、常識にとらわれないオバアたちには「人はこうあるべき」などという縛りが一切ない。70歳にして、やりたい放題できる楽園を創ってしまうとは、なんてオリジナルな生き方だろう!