自分が楽しむこと

ど・スピリチュアル日本旅

大事なのは自分が楽しむこと、これってほんとにそうだなとつくづく思います。
久高島の民宿のさわさんとの会話です。

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 さわさんが私を車で港まで送りがてら、イシキ浜に連れていってくれる。
 緑が青々と生い茂る小道を抜けると、目の前に忽然と青い海が広がる。この、パーッと視界が開ける感じがたまらず、何度来ても、ここは心から癒される特別な場所だなぁと思う。
 このイシキ浜は、海の向こうにあるとされる「ニライカナイ」を拝む聖地で、毎年、島の祭祀が行われているのだという。ニライカナイとは、東方の海の彼方にあるとされる異界、「神の住む国」で、祖先の霊が守護神に生まれ変わる場所だといわれているのだ。
 ・・・
「私はほんまに落ち着きがないんで、もう一度ここに来れて気持ちが安らぎましたわ〜」
「いつでも大事なのは、てるこちゃん自身が輝くこと、自分が楽しむことだからね〜。あれこれ思考するのではなくて、自分が気持ちいいかどうかよ」
 あまりにも当たり前の、でも、メチャメチャ大事なことを、さわさんがさらっと言う。その言葉を聞いて、あぁ、さわさんは民宿の仕事が好きで、本当に天職なんだなぁと思う。こんなこと、人生を楽しんでいない人には、とても言えないセリフだったからだ。
 誰だって、「気持ちがいいこと」をしたい。自分の心が喜ぶことがしたい。何かをするときは、いつでもそこからスタートしたい。あぁでも、私はずっと、楽しんじゃいけないと思っていたのだ。この、憧れの沖縄にすら気軽には来られなかったほど、自分の気持ちを抑え込んでいた。私の心が最も喜ぶ「旅をすること」が、会社員としては「よからぬこと」とされていたから、私は長い間、自分を会社員失格の「ダメ人間」だと思ってきたのだ。
 それでも会社を辞めて以来、いろんな仕事でいろんな所に行くようになって、私は今までになかった感覚を得られるようになっている。それは、当たり前と言えば当たり前のことだけど、私は、私という"乗り物"に乗って、人生の旅をしているんだ!と思えるようになったことだった。・・・
 ・・・ようやく「自分の本当にやりたいことをやって、世の中の役にも立ちたい!」と決意して会社を辞めたというのに、その一方で、サラリーマン根性の染みついた私は、まだまだ自分自身を表現することに戸惑いがあるのも事実だった。小学生の頃から「みんなと同じにしなさい」と教育され、会社時代も自分の個性を出しすぎないように常に身構えていたから、「自分の個性を出す」という回路が未熟なのだ。
 自分を「ダメ人間」と思わなくなっただけでも大前進だけど、ダメな自分も100%受け入れて、自分のことを好きになるのってむつかしいなぁ!人のことは簡単に好きになれるのに!
「自分を好きになる、自分を大切にするって、言うのは簡単やけど、本当にむつかしいですよねぇ」
「ここから見る景色を、よ〜く覚えておくといいよ〜。気持ちが焦るときは、イシキ浜のことを思い浮かべて、この浜で感じた感覚を思い出すといいからね〜」