美味しい本

お料理エッセイを読みました。

このレシピがすごい! (扶桑社新書)
まず土屋敦さんの「このレシピがすごい!」。
この人のこんな姿勢がこのレシピに表れている、などレシピ周辺のウンチク?が楽しかったです。
たとえば奥薗壽子さんについては
「彼女には、伝統を学ぶ知性が、そしてその伝統と既成概念を打ち破る合理的精神と批評性がある(その見事な結実が、次の項で取り上げた黒豆レシピだ)。と同時に『おおらかさと楽しさとユーモア』も奥薗流の重要な要素だ。」など。
阿部なをさんのレシピが紹介されているページには、こんなエピソードも。

 阿部さんと親しかった画家の堀文子さんはこう書いている。
  老残のかけらも見えぬ、阿部なを先生の迫力の原動力を知りたかった。
 『死ぬまでに体の悪いところを直しておかないと。』何というすごい生き方だ。

わたしの献立日記 (中公文庫)
もう1冊は沢村貞子さんの「わたしの献立日記」。
読んでると心が落ち着いて、気持ちよかったです。
たとえば
「去年の暮、押しつまってお米屋さんから、つきたてののし餅が届いた。老人は食が細い。折角のやわらかさを少しでももたせたくて、大根のつゆで包丁をしめしながら、なんとか小さく切って、一つ一つ丁寧にラップで包み冷凍した。」
大事に使いこまれた台所道具が目に浮かぶようで、心地いい本でした。