心をひらいてお願いする

人生の旅をゆく 2

飛び飛びのご紹介になりますが「人生の旅をゆく2」に載っていた、大事だなと思ったエピソードです。

P289
・・・この冬、二回のインフルエンザに倒れた私、耳も聞こえなくなり、治療が遅れたから毎日熱が四十度くらい出て、起き上がるのもままならなかった私に温かいものを送ってくれる人は誰もいなかった。
(お姉さんもお母さんも入院中、お父さんは危篤という状況だったそうです)
・・・
 朝やっとのことでてきとうにお弁当を作って子どもを送り出すも、自分はなにひとつ食べられない。・・・
 そんなある朝、へとへとで横たわっていたらなんだかつらくなってきて、だれかの作った優しい味のなにかがどうしても食べたくなった。
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 ふっと、群馬のお母さんのけんちん汁の味が浮かんできた。
 とても温かく、遠く、優しいものとして。
 そんなに親しいわけでもないのに、図々しいだろうか。向こうもお店をやっているから忙しいのに、お願いごとをするなんてどうなんだろうか、そう思った。でも、どうしてもどうしても、温かい汁物が恋しかった。
 私はSOSのメールを書いて、けんちん汁を送ってください、とお願いした。
 群馬のお母さんはびっくりしてすぐに送ってくれた。
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 私が長ネギを苦手なことをちゃんとおぼえていて、長ネギぬきで作ってくれて、冬のいろいろな根菜が入った甘いその味は、まさに体にしみてくるようだった。
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 悲しいことがたくさんあったせいで、冬の澄んだ空気が嫌いではないのにもかかわらず、この冬の寒さは弱った私には邪悪なものにさえ思えた。
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 でもその中で星みたいに輝いていたあのけんちん汁のことを思い出すと、ありがたくて泣けてくる。
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 どんなにつらいときでも、引っ込まないで思い切って心をひらいてお願いしてみたら、こんなに温かくきらめく思い出ができた。
 そのことをこれからも忘れないようにしようと思う。

略してしまった部分もあるので、伝わりづらいかもしれませんが(^_^;)
どんなにつらいときでも、引っ込まないで心をひらいてお願いしてみること、とてもとても大事なことだと思いました。