きのうに続いて、こちらも元気に年を重ねている方の本を読んでみました。
P172
誰だって苦手な人はいるでしょう?私が思うそういう人に対して、ここでもやっぱり無理はしません。
この年になると、少ししゃべっただけでわかるんです。「嚙み合わないな」「ああ、ちょっと違うな」と。だからそういう人には自分からは近づきません。もちろん無視をするといった、無粋なことはしませんよ。でも一定の距離を保って、深入りしないようには気をつけます。「嫌われたくないから」と無理やり一緒にいても疲れてしまうだけ。また、気の合わない人と会うと、離れたあともなんだかどんよりしてしまいますから。
それに、私が心から楽しんでいなかったら、きっと一緒にいる相手もやっぱり楽しくないんじゃないかなと思うんです。それは結果として、相手に対してとても失礼なこと。また、そんなことでお互い残り少ない人生の一日を無駄にしたくないですもんね。
コロナ禍は制限も多くて本当に大変でしたが、唯一、これをきっかけに人間関係を整理することができたということだけは、良かったのかもしれません。自然と人と距離ができたので、改めて、自分にとっての快適な距離感を保てるようになった気がするのです。
自分の気持ちに誠実に。これは年齢に関係なく、とても大切なことだと思っています。
P181
これでも若い時には相当苦労してきました。昼も夜も働いて、ヘトヘトだった時期もあります。それでもね、どんなに辛くても、そういう苦労を顔に出さないようにだけは気をつけていました。「あの人、シングルマザーだからイライラしている」なんて思われたくないですもんね。逆に平気な顔をして穏やかでいれば、「余裕があっていいわね」となる。そしてそう振る舞うことは、それほど難しいことではありませんでした。
ちょっと気を遣えばできることで、そうすると不思議と気持ちもスッキリしたものです。どんな問題も、そのうち「なんだ、全然大したことないじゃない」と自然に思えるようになるのです。
これは私の根本にずっとある部分なんだと思います。昔から何に対しても「ケ・セラ・セラ」、なるようになると思って生きてきたところがあるのです。・・・
P185
歳を重ねたら
風邪ひくな!
転ぶな!
義理はかけ!
P188
・・・一番大事なのは、「何事においても限界を決めないこと」ではないでしょうか。
「もう年だからできない」、この一言をいったん頭のなかから追い出して、気になったらまずは扉をノックしてみる。そうすればその扉は開きます。挑戦してみて、たとえ無理だったとしても、別の扉が開く可能性も高くなります。〝友達ができる〟というような副産物もたくさんおまけのように付いてきます。損することは何もありません。
そしてもう一つ、老婆心ながら申し上げますと、「全部ひっくるめて楽しむ」、これに尽きると思うのです。
私は89歳でひとり暮らしです。ひとり娘は遠く離れたロンドンにいます。この状況に対して、「さみしくないかしら」と心配される方がほとんどでしょう。でも、強がりいっさいなしで、私はこの暮らしを心から楽しんでいます。
〝楽しむ〟ことにお金はかかりません。人に迷惑もかけません。ただ自分の心の持ちようです。なんてお手軽なんでしょう!
「ウォーキングしなくちゃ」といやいや家を出て、猫背でとぼとぼ歩くのと、「今日はどんな花が咲いているかしら」と浮き浮きした気分で歩くのと、1年後にはどれほどの差が出ていると思いますか?
この〝楽しむ〟の積み重ねこそが、若さと元気をキープする秘訣だと思うのです。