ゲーテの言葉

ゲーテ格言集 (新潮文庫)

「朝にキク言葉」(ひすいこたろう)に、「自分自身を大切にすることこそが道徳だ」というゲーテの言葉が載っていて、いいなーと思ってこちらも読んでみました。

 印象に残った言葉を書きとめておきます。

 

P40

 個々の人間は、一つの性格を完全なかたちで持ち得るものではありません。それでは生きることができないでしょう。生存するためには、人は雑多な性質を持たねばなりません。(カロリーネ・ヘルダーへ、一七八八年)

 

P102

 新聞を読まなくなってから、私は心がのびのびし、ほんとに快い気持でいます。人々は他の人のすることばかり気にしていて、自分の手近の義務を忘れがちです。(ミュラーへ、一八三〇年)

 

P129

 どんな読者を私は望むか。私をも自分をも世界をも忘れて、本の中にのみ生きる無私虚心な読者を。(「四季」秋の部から)

 

P189

 人は自分の肉体あるいは精神についてよく考えてみると、たいてい自分が病気であることを発見する。(「格言と反省」から)

 

P201

 人はみな、わかることだけ聞いている。(「格言と反省」から)

 

P219

 気持よい生活を作ろうと思ったら、

 済んだことをくよくよせぬこと、

 滅多なことに腹を立てぬこと、

 いつも現在を楽しむこと、

 とりわけ、人を憎まぬこと、

 未来を神にまかせること。(「警句的」から)

 

P64

 でき上がったものが硬化しないように、

 作りかえるために、

 永遠の生きた活動が働いている。

 ……………………

 それは活動し、創造的に行動し、

 先ず形をなし、ついで形を変える。

 瞬間とどまることはあってもそれは外見だけである。

 永遠なものは一切のもののうちに活動し続ける。

 万物は存在に執着するならば、

 崩壊して無に帰するほかはないのだから。(「神と世界」一八二一年一〇月作詩)