結婚への道 つづき

岡村靖幸 結婚への道

 

 昨日に続いてこちらの本から・・・

 

こちらは鈴木おさむさん。

P171

岡村 おさむさんの結婚って、さっきも電波少年的と僕は言いましたが、人生を賭けた壮大な企画のように思えるんですね。恋とか愛ではなくて。

鈴木 最初はそんなノリもあったかもしれません。でも、いまは、めちゃくちゃ奥さんを愛してます。自分のなかでの優先順位をいえば、20代は仕事が第1位でしたけど、結婚してからは完全に奥さんが1位です。

岡村 言い切りますねえ。

鈴木 結婚してようやく気づいたんです。ああ、オレはそれまで人を愛したことがなかったんだなって。

岡村 僕、そこがすごく不思議なんです。面白いことを追求する一環としての結婚が「愛してる」になったということが。それって壮大な「聞いたことのない話」だなって。

鈴木 僕の実家は父が経営するスポーツ用品店なんですが、あるとき、1億円の借金があることがわかったんです。僕が調子コイてた25歳のときに。突然銀行に呼ばれたんです。あなたのお父さんには借金があるから返してくれと。結果、それを全額返すことになるんですが、でも、そのときはもうダメだと思ったんです。お笑いの仕事をやってるのに1億円の借金を背負うだなんてムリだと。すると、ある番組のプロデューサーさんが「その話を会議で発表しようよ」と。番組の会議で話してみたら、みんなが笑ってくれたんです。で、ふっと軽くなったんです。もちろん、それで借金が消えるわけではないので、究極の現実逃避ではあるんです。でも、この世界って不幸な話を笑いに変えることができるんだなって。そう思ったときにすごくラクになって。で、30歳になる頃、借金のゴールが見え始めて。でも、不思議なもので、それまでとんでもなく重かった荷物がなくなりかけると、「あれ?これから先、自分は何を目標にすればいいんだろう」って思っちゃったんです。そんなときに妻と出会って。

岡村 新たなる目標が「未知なる人との結婚生活」になったと。

鈴木 彼女とだったらホームレスになっても大丈夫と思えたのも結婚へのスイッチになったと思うんです。

 

こちらは堀江貴文さん。

P229

岡村 浮気されても平気ですか?

堀江 浮気という明確な事態に遭遇したことがないので何ともいえないんですけど、でもまあ、そういう場合は、オレが情けないんだって思うしかないですよ。

岡村 彼女を責めない?

堀江 彼女のことが好きならば、彼女のプライオリティナンバーワンになるべく努力をする。それを常に心がけるべきだと思ってますから。

岡村 常に自分を高めておけば女性もついてくるはずだし、うまくいかないときは内省するんだと。でもね、それは強い人特有のものの考え方です。人間は強いばかりではないし弱ってしまうときもある。多くの人はそうです。だから結婚があるんじゃないかって思うんです。

堀江 僕は、そういった弱さって、結婚に限らず、人の生き方すべてに関わってることなんじゃないかなって思うんです。特に日本人の場合は。結局のところ、自分に自信がないというのは人を信用してないってことなんです。だから僕は、そんな生き方をしたくないなって思うんです。自分に自信をもって生きていきたいし、人を信用して生きていきたい。

 


こちらは横尾忠則さん。

P252

岡村 冒頭で横尾さんは子どもはカルマだとおっしゃいました。それは具体的にどういうことですか?

横尾 カルマとはつまり業です。人間、誰しもが因果応報の業を抱えて生まれてくるんです。僕は絵を描くというカルマを抱えていますが、子どもをもつということもカルマのひとつ。たとえば、子どもが与えられていない夫婦っていますよね。これは問題が少ないわけです。子どもに関する問題がありませんから。つまり、そのカルマは今生においては解決済みということだから。でも子どもがいると問題は解決しない。子どもがいる限りそれはカルマであり続ける。だから、子どものいない夫婦は前世によっぽどいいことをした夫婦じゃないかと思いますけれども。

岡村 でも、子どもができないことに悩み苦しむ夫婦もいますよ。

横尾 そういう夫婦はあえて子どもを欲しがったり、もらったりしないほうがいいと思う。僕自身、子どものいない夫婦にもらわれたんです。たまたまこの程度の子どもだったから問題は少なかったと思うんですが。

 ・・・

岡村 とはいえ、子どもがいてよかったと思われるでしょ?

横尾 子どもは修行。修行のためにはいてよかったと思います。子どもの抱えている問題を、こちらも抱えなくちゃいけませんからね。「もう学校に行きたくない」とか言い出したり、そういうことをね。

 ・・・

 ・・・僕はね、絵以外のカルマはできるだけ抱えたくない。今生でカルマはできるだけ捨てていきたいんです。

岡村 死ぬまでに捨てたいんだと。

横尾 カルマは死ぬときにゼロになればいいんです。仏教の根本思想はカルマ。それを捨てるということの修行なんです。誰もがカルマをもって生まれてくるんです。言い換えれば、カルマのない人は生まれる必要がない。カルマと肉体は一致しているからね。だから、カルマをいかに解消するかが人生なんです。

 ・・・

 僕は、偶然ってあり得ないと思ってる。すべて必然なんです。だからこの先、岡村さんが誰かと結婚されても偶然じゃない。その人と出会うまでの道筋もあるし、誰かを介してその人を知ったというのも、全部網の目の如く関係があるわけです。だから今日、このあと気持ちが高ぶり帰りの電車で誰かと恋に落ちれば、僕とこうして話をしたからという関係性が生まれるわけです。

岡村 そうすると横尾さんは僕の仲人になりますね(笑)。

横尾 そう、みんなつながってるんです。僕と女房もそう。あのとき、駅のホームで彼女が僕の先輩に声を掛けなければ一緒になってないし、いまの状況はない。そう思うと目の前にいる子どもたちが不思議でしょうがない。これがもし違う人と結婚していたなら、違う顔で違う人格の子どもになってるわけだし、そもそも子どもはいないかもわからない。そう考えると本当に不思議だね。