ワカメちゃんがパリに住み続ける理由

 日本とフランスの違いを面白く紹介してくれている本、たまたま目にして2冊読みました。

 へぇ~と思うことがいっぱいありました。

 

ワカメちゃんがパリに住み続ける理由 (ワニの本)

 

P30

 フランスに住んで間もなく30年になる。人並みの苦労や嫌なことはたくさんあったけど、帰りたいと思ったことは一度もなかった。

 ・・・結局は相性の問題だと思う。ここに来て、私はラクになった。自分を偽らず自分のままでいられる。居心地がいい。

 この国の自由さ、寛容さ、遊び心は私の〝酸素〟だ、欠かせない。でもそれを「自分勝手、いい加減、怠け者」と感じる人もいるはず。だから要は相性だ。

 

P121

 この国で、相手が間違っていることを指摘すると「セ・パ・モア/私じゃない」という答えが返ってくる。郵便局の窓口、デパートやブティックの店員、携帯電話や通販のサービスオペレーター……みんな「セ・パ・モア」。住み始めた頃はモーレツに腹が立ったが、今では「また出た」と思うくらいに成長した。免疫ができた、と言うべきか。

 ・・・

 ・・・すごいのが学校だ。下校時間、校門を一歩出るとタバコを吸いだす中高生がいる。かなりの人数が学校の前に群をなして煙を吐き出している。そこへ先生が出てくる。大概の先生は、煙に顔をしかめるくらいで何も言わない。校門を一歩出たら、そこは〝家庭教育〟のテリトリーだからだ。

 高校生の喫煙といえば、11月13日の連続テロ後、教員たちが「校門の前で大勢がタバコを吸うのは危険だ」と言いだした。テロリストは〝人が集まっているところ〟を狙うし、イスラム原理主義者たちはタバコを禁止している。解決法として「構内に喫煙場所を設ける」を提案。

 本末転倒!(フランス語では〝あべこべの世界〟)。「外で喫煙は危ないから、控えましょう、うちに帰ってから吸いましょう」ではなく、喫煙エリアを作ってあげるなんて!これは、〝非喫煙者の権利〟に触れるそうだけど、今日〝テロの危険〟という言葉の前にみんな黙る。

 公立の高校には次々と喫煙エリアができている。

 

 

フランス人は1割しかお嫁に行かない

 こちらの本も、お国柄でこんなにも違うんだなと・・・


P17

 ひとつたしかにいえるのは、この国は恋愛に対して実に寛大だということです。なにしろ僕がフランスに来てからの歴代大統領はことごとく、一人の例外もなく女性問題を起こしているのですが、それが自身の進退に繋がるとか、轟々たる非難を受けたとかいうことがありません。

 たとえばフランソワ・ミッテランは大統領就任直後、愛人の存在について問われ、「エ・アロール?(それが、なにか?)」と平然と答えたことが、日本でもずいぶん話題になりました。しかしフランス国内でそのとき以上にミッテランの女性問題が大騒ぎになったのは、それから約10年後に写真週刊誌『パリマッチ』が、隠し子との2ショットをスクープしたときです。

 もちろん現職大統領に隠し子がいたという事実自体、カフェの格好の話題にはなりました(隠し子本人が、想像以上の才色兼備ぶりでしたし)。でもだからといって、ミッテランの大統領としての資質を問う方向には行きませんでした。当時のマスコミが、依然として超男性中心社会だったからというのも、おそらく理由のひとつでしょう。権力者に愛人がいるのは当たり前だ、みたいな。

 大騒ぎになったのはむしろ、「政治家のプライバシーは報じない」はずだったフランスのマスコミが、そのタブーを破ったことへの非難だったという印象です。

 次のシラク大統領は前任者ほど派手ではなかったものの、日本に合計80回以上も旅行したのは愛する日本人女性に秘かに会うためだったというのは、パリに暮らす日本人のあいだでは公然の秘密でした。これがサルコジ大統領となると、はるかにすごい弾けっぷりを見せてくれます。これまでに3度結婚しているのですが、2度目の妻セシリアを見初めたのは、彼女が有名なTV司会者とパリ郊外の市役所で結婚式を挙げたときでした。市長として立ち会ったその式で一目惚れ。思いが募った末、のちに彼女を略奪してしまうんですね。

 ところが大統領に就任する頃には2人の仲はすっかり冷え切り、彼女はサルコジ支持者の実業家とニューヨークに駆け落ち。その後いやいや復縁しましたが、たしか就任式にも出席しなかったような気がします。サルコジはまもなく離婚し、わずか3カ月後にはトップモデルで歌手のカーラ・ブルーニと再々婚しました。3年後、女児が誕生。「フランスの歴史上初めて、在任中にパパになった大統領」と、当時のニュース番組でずいぶん揶揄されてました。

 現在のオランド大統領も、この点では負けてません。長年事実婚だった女性政治家とのあいだに4人の子供まで設けましたが、大統領就任前にその関係を解消。未婚の大統領というのも、たしかフランス史上初めてだったはずです。その後、有名ジャーナリストと事実婚となりますが、大女優と密会していたことをまたも『パリマッチ』にすっぱ抜かれ、奥さんにはさっさと去られ、ついでにこれまでの行状を逐一暴露した本まで出版されてしまいます。

 とまあ、激務に違いない国の舵取りをこなしつつ、私生活でもこのエネルギッシュさ。一国を代表する大統領がこんなですから、フランスがいかに恋愛大国であるか、その一端が少しはおわかりになったかと思います。・・・

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 ・・・うちの奥さんが、「さすが、フランス男は違う」と感嘆したのは、娘が幼稚園年長組のときのこと。友達を家に招いて誕生パーティをしたところ、男の子の一人が娘の肩を優しく抱いて、「ジュテーム」と、耳元で囁いたんだそうです。その仕草と語りかけ方がとても5歳のガキとは思えず、つまりは彼の家庭で両親が日常的に交わしている愛情表現が、次世代へと順調に受け継がれてるのを実感したと言ってました。