楽しくなければ仕事じゃない

楽しくなければ仕事じゃない―「今やっていること」がどんどん「好きで得意」になる働き方の教科書

 ほぼ日で、糸井さんと千場さんの対談を読んで興味を持ちました。

 若い方に向けて働き方の本を、ということで、「一般的にはやるべき正しいこととされている」ことやキーワードを挙げ、そこに別の視点を持ち込んでみる、という方法をとってみた、そうです。

 

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 ここまで、いろいろ、ミッションが大事と書いてきたが、では、どうやったら、自分自身のミッションを見つけることができるのか?

 これについて、再現性のある方法を探していたら、先日、誘われていったイベントで偶然出会ったアルバ・エデュ代表の竹内明日香さんが全国の小・中学校でおこなっている「プレゼン」の出張授業のカリキュラムの中に、その答えがあった。

 最初に、今、世の中で解決が求められていることを挙げていく。

 次に、それについて、自分なら何ができるかを考える。

 すると、それが、その生徒の「好きな仕事」になり得るという。

 まさにそれって、わたしの言うミッションだ。

 最初からただ「好きなことを仕事にしよう」なんて言ったって、そもそも何が好きかなんて、じつは大半の子どもがわかっていない。

 せいぜい、AKBに入りたいとか、ユーチューバーになりたいとか、ZOZOの創業者の前澤さんみたいな起業家になりたいとか、あるいは、お医者さんになりたいとか公務員になりたいとか、そんな話で終わってしまう。

 そうではなくて、社会課題から入る。

 それによって自分が世の中に対してどんな貢献ができるかを考えるようになる。

 自分が誰かの役に立っているという実感。ミッションが強いのは、そういう自己肯定感を伴うからだと思う。

 だからミッションを見つけるのに焦らなくてもいいし、途中で変わってもいい。

 だいたい、学生までのうちに気がつく社会課題は限られたものになりがちだが、世の中のことを知れば知るほど、目につく課題は、より具体的になっていく。

 ミッションを見つけるのは、それからでも遅くはない。

 

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 学校でも、会社でも、「リーダーシップを持て」と叫ばれる。

 ・・・

 息子が小学校四年生ぐらいのときだ。

 保護者面接で担任の先生が「勉強はできるが、リーダーシップがない」みたいなことを、まるで自己チューな子どもみたいな言い方でおっしゃったので、反論した記憶がある。

 

「たしかに、積極的に人の先頭に立つタイプではないが、自己チューなのではなく、逆に、サポートする側に回っているのだ」と。

 ・・・

 ・・・どうして学校の先生方というのは、すべての子どもを「積極的でリーダーシップがある」という決まりきった理想に当てはめようとするのだろう?・・・

 リーダーは、ついてきてくれる人がいて初めてリーダーになれる。

 すなわち、リーダーをつくるのは、ついていく人たち、すなわちフォロワーだ。

 高いフォロワーシップを持つ人も必要じゃないか?

 じつはこの考え方を教えてくれたのは、息子の中学校一年生のときの担任だった。

 息子が入ったのは、それまでずっとクラスで一番で「おれが!おれが!」と、お山の大将の座を競い合い、奪い合うような男子の集まる学校だった。

 そんななかで、その担任は、世の中において、息子のようなタイプがいかに重要か、と褒めてくださったのだ。

 そして、リーダーシップと、リーダーになりたがることとは違う、と。

 あなたが昔から学級委員をしたり、生徒会会長に立候補したり、学芸会の主役を務めてきたような人だったら、どうぞリーダーを目指してください。そして、できれば世の中をいい方向に、変えていってほしい。

 ・・・

 でも、もともと人を導くよりも、信頼できる人に従っていくこと、人の夢を助けることのほうが性に合っているという人は、無理にリーダーを目指す必要はない。

 

 リーダーになれない自分を恥じる必要はない。

 リーダーになった同僚や後輩をうらやむ必要はない。

 

 じつは、リーダーの数よりフォロワーの数のほうがずっと多いのに、世の中、フォロワー志望者が少なすぎる。

 というより、本当はフォロワーがいいと思っているのに、「それではいけない」と言われているように感じてしまっているのだ。

 フォロワーは、リーダーよりも劣っていると感じてしまっているのだ。

 しかし、事実は違う。

 

 フォロワーがリーダーをつくる。

 優れたフォロワーが優れたリーダーをつくる。