不要なことはカットする

ハーバード・ジュリアードを 首席卒業した私の 「超・独学術」

 苦手なことはやらない、どうするのが有意義かという視点で行動する、など共感したところです。

 

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 前章で語った「不要なことはカットする」という考え方は、時間管理術であると同時に、集中術でもあります。

 TODOを細かくリストアップした時点で、無駄をそぎ落とすことが大事です。

 無駄なこととはたとえば、次のようなものを指します。

 

・苦手なこと→うまくできないので集中できない

・やりたくないこと→やる気が出ないので集中できない

・メリットの小さいこと→集中する意味がない

 

 これらを削除すると、ぐっと能率が上がります。

 ・・・「苦手なこと・やりたくないこと」の中には、課題クリアのためにどうしても必要な場面もあるでしょう。

 ならば、得意な人に頼むのが良い方法です。周囲の人々を日ごろから観察して、「〇〇が得意な人」のリストを頭の中に作っておくのがおすすめです。ビジネスマンの方なら、同僚との信頼関係を築けるチャンスです。

 ・・・

 もちろん、所属している会社やその他の事情で「したくないこと」をせざるを得ない場面もあるでしょう。

 しかし、大前提としてこの枠組みを意識するだけでも大違いです。

 自分の気持ちを無視してすべてのことを引き受けると、集中力もパフォーマンスも確実に落ちます。

 自分は何がしたいのか、したくないのか。その原点に、こまめに立ち返ることが大切です。

 

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 異質なものを掛け合わせることが今後の世界では不可欠、とは言ったものの、それが簡単ではないことは確かです。

「自分とは違うもの」を皆が柔軟に受け容れられるなら、世の中には孤立もいさかいも差別も戦争も起こらないはず。

 しかし人はしばしば、「自分とは違う物や人」を、しばしば「自分とは合わない」と感じ、排除しようとします。これは非常に残念で不幸なことです。

 だからこそ私自身は、合わない人がいても、できるだけ受け容れたいと思っています。

 たとえば私は、人のアイデアに耳を傾けない人が苦手です。見下したような態度をとったり、自分だけが正しいと思っていたり、という人と接するときは「嫌だなあ」と感じます。それでも、もしその人と仕事をするなら、歩み寄ります。

 まず、自分の感じ方が間違っていないかを確かめます。きちんと話せば第一印象は変わるのではないか、と考えて、少なくとも2週間じっくりコミュニケーションをとります。結果、言い方がキツいだけで実はけっこう柔軟な人だとわかった、ということは少なくありません。

 しかし中には「これはダメだ」という人も。そのときも、「あなたは間違っている」と言わないのが鉄則です。ましてや「あなたとは合わない」「嫌い」といったことは絶対に口にしません。

 相手を不快にさせることを言ったところで、何一ついいことはありません。意味がないので、例によって省略。

 逆に、「そのアイデア、いいね」など、良いと思った点を積極的に伝えます。

 そのとき私は、「相手が変わるかも」とちょっぴり期待しています。

 人は、相手が自分に対してとる態度と同じ態度をとりたくなるそう。「ミラー効果」と呼ばれるこの心理、たしかに誰にも備わっているようです。

 相手を認めると、心のバリアがスッと取れることがあります。この方法で、相容れなさを取り除いた経験は数知れずあります。

 なお、その経験上感じるのは、バリアの厚さは自信と反比例するということ。自信のない人ほど、心を閉じ、人を受け容れない傾向が強めです。

 ならば、その人を認めることで自信をチャージすることは、確実に有意義です。

 その結果バリアが取れていく……という道筋を頭に描きつつ、その人の才能や優れた点に、目を向けるようにしています。