コミュニケーション能力とは

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法 (文庫ぎんが堂)

 この「コミュニケーション能力とは、受信側のシステムを理解するスキル」というのは、名言だと思いました。

 

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 ちきりんの「コミュニケーション」の定義は、「発信者側が感じていることを、受け手側に、できるだけ忠実に再現・再生させること」です。

 たとえば、自分が怒っているとしましょう。・・・

 相手がとても敏感な場合は、婉曲な言葉や方法を選ぶ必要があります。そうしないと「私は怒っている」と伝えたいのに、相手は「激怒していて、もう一生許してくれないだろう」と受け取る可能性があります。これはコミュニケーションの失敗です。

 反対にとても鈍感な人が相手なら、「私は怒っている」ことを伝えるために、怖い形相と強い声で何度も繰り返していわないと、「今日は機嫌が悪いな」くらいにしか伝わらないかもしれません。

 このように、「自分が怒っている」というシンプルなことを伝えるだけでも、相手の性格にあわせてコミュニケーション手段を使い分ける必要があるのです。

 分解して考えると、コミュニケーションを成功させるためには、

(1)自分が何を相手に感じさせたいか、思わせたいかを正確に理解する

(2)相手の受動体の仕組みと感度を理解する

(3)相手の受動体に送るべき言葉や態度を具体的に選択する

 自分が何をいいたいかだけを理解した後、すぐに発言してしまっては、相手に誤解を与えることもしばしばでしょう。必ず「相手の受け止め方」を想像してから、それにあわせた伝達方法を選ぶことが重要です。

 コミュニケーション能力というのは多くの場合「発信スキル」として語られます。・・・

「私はこういうつもりでいったのに誤解された」とか「わかりやすく説明したのに伝わらなかった」という人も、コミュニケーションは「発信」で成否が決まると考えている人です。

 けれど、「どう話すか」「どう表現するか」を、話す相手や状況を特定せずに練習しても役には立ちません。・・・相手の性格や場の雰囲気の違いによって相手の受け止め方は異なってくるからです。また言葉は、受信者にとってわかりやすいことが重要なのであって、いくら話し手が「わかりやすいはず」といっても意味がありません。

 コミュニケーション能力とは、「受信側のシステムを理解するスキル」です。他者の受信メカニズム、感度や感情のバリエーションに対する知識や理解こそが重要なのです。