バイトやめる学校

バイトやめる学校 (SERIES3/4 1)

 phaさんの本で紹介されていた「バイトやめる学校」、読んでみました。

「そもそもカネがいまだに流行っているのって、ウケる」という感覚、いいなぁと思いました。

 

P12

 こんにちは。山下陽光といいます。「途中でやめる」というリメイクブランドをやっている男です。すんげぇ売れてます。売れてるんですけど、すごく安い値段で販売して、なおかつすごく高い給料を払っています。

 つまり、安いものを売るのにコストかけまくって儲けを減らしている。それでいて自分の生活を成り立たせている。それができるようになったのは、最近のことなんですけどね。

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 自分が好きなことやおもしろいと思うことをやり続けて、それをお金にして生活するのが難しい世の中です。だからといって、やりたくない仕事をして、空いた時間に好きなことをやるのは効率が悪いし、体にもよくない。ストレス溜まりまくって、発散しようとお金を使いまくって落ち込んだりするのはまだいいほうで、もっと過酷な環境にいて追いつめられてる人もいるかもしれない。どうしてこんなに苦しいんだ?

 そもそも、仕事の内容とかはたらく時間とかに関して、どうやってお金がまわっているのか?

 だっておかしいでしょ。なぜ10万円の服を売る店と、1000円の服を売る店の従業員の給料が同じなのか?なぜ超高級ホテルと、個人経営の旅館とではたらく者の時給が同じなのか?

 利益率のいい仕事も、割に合わない重労働も、最低賃金に毛が生えたような給料にしかならないのは資本家がゴッソリとガメてるから。だったら独立して自分が資本家になろう、って考えになるのが当然かもしれない。

 でもそれってダサい。いや。ダサいことにしていきたい。

 ダサくてウケる。そもそもカネがいまだに流行っているのってウケる。

 もう資本主義終わるとかいわれてますが、終わるまっただなかにいる僕らにしてみたらまだ終わってない。だったらとにかく、お金をダメにしない方法を発明して、生活できることをやっていこう!

 たとえば、小林製薬の「のどぬーるスプレー」「トイレそのあとに」「熱さまシート」といった製品は、不快感を言語化して浮き彫りにして、それを解消するという着眼点があった。「途中でやめる」も手作りだけどメチャクチャ安いという着眼点です。今までにもあったんだけれど、ないことにされてきた発想やどこが大事かという力点の置き方で、新しい経済の感覚を生み出してお金に替えていくことは可能なんです、きっと。

 そういうわけで、使う側も稼ぐ側も〝お金をダメにしない〟方法を超具体的に話していく「バイトやめる学校」、始まりまーす!

 

P26

 仕事って基本的に人が嫌がることをやるっていうか、人ができないことをやるからお金がもらえるわけですよね。重要なことをいいます。「人はめっちゃ嫌がるけど、自分はそんなに嫌じゃないよ」っていうものがあったら、大事にしてください。その隙間から始めてみてください。

 雇われてはたらくのがしんどくなって、やめて好きなことをやって生活していきたいというときに、自分が無理なくできることをすっとばして「好きなことをやろう」となってしまうから、突然、「田舎で古本屋カフェやります」みたいな話になる、それ、絶対食えないでしょ。

 大事なことなんで繰り返します。ちょっと人が喜んでくれること、社会から需要があることをやる。

 僕は洋服を作ることを仕事にしてますが、たぶんほとんどの人って服買うのは好きだけど、作るのってメチャクチャ面倒だしやりたくない。でも、僕は洋服作るのが全然嫌じゃないんです。

 

P76

 僕が生業としている「途中でやめる」、そして新しい経済圏の試みである「新しい骨董」に共通しているのは、最小の労力で最大の収入を目指すのではなく、最大の労力で、最小の稼ぎしか得られないような、資本主義の人らが見向きもしないような、敵がいなくて、稼げないけれど楽しい空間を見つけて実践して拡げていく試みだと思います。

 資本主義、流行ってますね。で、これ読んでる人はたぶん、資本主義が得意じゃないですよね。世の中は、小さいことで大きく稼ぐ資本主義でまわっています。僕は、大きいことで小さく稼ぐことしか興味がない。なぜこれがいいかというと、資本主義の人たちが一切寄ってこないからです。儲からないから誰も真似をしない。それに、このやり方は、なによりおもしろいのがいい。真似もしやすい。明日からでも始められます。僕の友達も真似したりしていて、同じような経済圏ができつつあります。

 好きなことをやって、徹底的に儲けない。雇われなくていい。

「給料上げろ」「仕事よこせ」というスローガンもずっと続いているけど、仕事をアホみたいに作って金をばらまく、はたらいている人に金を払いまくるというのをみんなでやりたい。はたらいている人のほうが資本家よりも多く金を分配されるようになったら最高だと思います。