可能性を開いておく

死にたくない 一億総終活時代の人生観 (角川新書)

 考え方を柔軟に。大事なことだなと思いました。

 

P185

 僕には、「本当かな?」「ちょっと怪しい話だな」と感じる話でも、とりあえず1回受け入れてしまうというクセのようなものがあります。・・・いったん受け入れてみて考えるタイプなのです。なぜなら、最初から拒否してしまえば、そこですべての可能性が閉ざされてしまうから。もしかしたら、なにか自分にとって得るものがあったかもしれないのに、「自分はこういう考えだから」というのを頑なに決めてしまうと、ほかの考え方をなかなか受け入れられなくなりますよね。

 年を重ねれば重ねるほど人は頑固になる傾向があるけれど、意固地な人って若い人にもたくさんいますよ。だから年齢ではなく、あくまでも個人差かもしれない。そのあたりの、自分と他者との考え方や価値観の差にうまく折り合いをつけられるかどうかは、外部の意見や価値観をどれだけ取り入れる力があるかで決まると考えているんです。

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 人にはいろいろな考えがあってあたりまえだと思っています。・・・自分の考えにこだわって外部と自分のあいだに線を引いた瞬間に、自分とはちがう他人の考えや行動が理解できなくなるし、もっと致命的なのは「理解しようという気持ち」までなくなることです。

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 年を取ってくるとなにかと腰が重くなってくるし、アイデアが出ることも減っていきます。でも、そんなことがまさに「老いている」ということではないでしょうか。

 考え方自体はなかなかすぐには変えづらいものだけど、「あれ、いまちょっと偏っていないかな?」と自分に問いかけることはできるはず。保守的な考え方ばかりに偏るのではなく、若者の価値観などを知ることで、自分の思考に幅というものを出すことができるはずです。

 他者の考え方や価値観を「自覚的」に受け入れることができるようになると、「これはやっぱりちょっと怪しいかな」と思ったときに、すぐやめることもできます。ひとつの考え方に固執していないから、冷静に比較することができるわけです。

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 これは仕事の選び方でも同じですよね。僕は比較的いろいろな仕事をしてきたからこそ、いまの仕事がなくなっても、別の仕事へすぐに好奇心のアンテナを振り向けることができます。

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 僕の家のマンションのロビーには、いつも掃除をしているおじさんがいるのだけど、あんな感じでずっと働いて、ちょっとでもいいからお金を稼ぎたいという気持ちが僕にはあります。・・・

 働かないと時間を持て余すこともあるだろうし、働く理由はお金ですが、究極を言うと、僕はお金があっても働きたい。やっぱりちゃんと体を動かしていると、体と頭が活性化されて気分よく過ごすことができるのです。