色がわかるのは・・・

奇想天外な目と光のはなし

 こんなふうに色を識別していたと知ると、世界がちょっと違って見えます。

 

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 ・・・人間は赤い光、緑の光、青い光に対して感度の高い3種類の錐体(L錐体、M錐体、S錐体)をもつため、明るい所であれば微妙な色の違いを識別することができるのです。

 では、なぜ錐体が2種類以上あると色の識別ができるのでしょうか。それは、波長によって感度の違う2種類以上の錐体の信号を比較することによって、はじめて色の違いが分かるからです。・・・

 緑色の葉を見ている時は、緑の光に対する感度が高い錐体からの信号が大きくなり、青や赤の光に対する感度が高い錐体からの信号が小さくなります。そして、青い空を見ている時は、赤や緑の光に対する感度が高い錐体からの信号は小さくなり、青の光に対する感度が高い錐体からの信号は大きくなります。

 このように、・・・信号の大小を比較することで色を識別しているのです。

 では、光の三原色である赤・緑・青以外の色を見ている時は、どんな反応が起こっているのでしょうか。

 例えば、信号機の黄色を見ている時は、赤や緑の光に対する感度が高い錐体からの信号は大きくなり、青の光に対する感度が高い錐体からの信号は小さくなります。黄色に見えるのは、赤の錐体からの信号と緑の錐体からの信号をもとに、網膜内の神経細胞で黄色の信号を作り出しているからです。紫色の花を見ている時は、赤や青の光に対する感度が高い錐体からの信号が大きくなり、緑の光に対する感度が高い錐体からの信号は小さくなります。そして、赤の錐体からの信号と青の錐体からの信号によって、紫色の信号が脳に届けられるためです。

 

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 光の波長が網膜に届くと、私たちはそれを「色」として認識します。ただし、光そのものには色がついているわけではありません。実験を通して色の見え方をはじめて研究したニュートンは、「光線には色がついていない」という有名な言葉を残しました。彼の言葉が意味するように、波長の違いを色の違いとして感じるのは、そのように感じる仕組みが人間の目と脳にあるからなのです。

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 私たちをとりまく世界は彩り豊かです。青い皿、緑色の葉、黄色の標識、赤いトマト……。それらの物は青色や赤色をしているように感じられますが、実際は物の表面に色がついているわけではありません。物に白い光が当たると、表面の原子や分子が一部の光を反射し、残りの光を吸収したり透過したりすることで、あたかも物の表面に色がついているように見えるのです。

 つまり、光が物に当たって反射や透過をすることで、初めて物に色が生じます。例えば、緑の葉は、波長の長さが中くらいの光(緑)を多く反射し、それ以外の短い波長の光(青)や長い波長の光(黄、赤)をほとんど吸収してしまいます。そのため、中くらいの波長の光だけが見ている人の目に届き、葉が緑色に見えるのです。

 ところで、緑の葉が青や赤の光を吸収するのは、それらの光を使って光合成をし、でんぷんや糖などを作るためです。緑の葉に含まれている葉緑素光合成に必要な赤や青の光を吸収し、光合成にはあまり使われない緑の光だけを反射します。もみじが秋になると色づくのは、気温が下がると葉への糖分や水分などの供給を止めるため、葉の中にある葉緑素が壊れてアントシアニンという赤い色素が作られるからです。このアントシアニンが赤い光を反射するため、秋になると紅葉するというわけです。

 

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 ・・・実はシロクマの毛は白ではなく透明です。では、なぜ人間の目にはシロクマの毛が白く見えるのでしょうか。

 それには、光の散乱が関係しています。シロクマの毛は、他の動物の毛と異なり、内側がストローのような空洞になっています。そして、たくさん密集して生えた毛の表面や内部の空洞に光が当たると、光が四方八方に散乱するため、人間の目には白く見えるのです。

 光が物に当たってあまり吸収されずに散乱すると、いろいろな波長の光が混ざり合うため、人間の目には白く映ります。透明な雪や海岸に打ち寄せる波の色が白く見えるのも、光の散乱によるもので、逆に光の多くが吸収されて散乱する光が少ないと黒く見えます。