柳家花緑さんに続いて、Mattさんのおうちの子育てについて。
世間からあることないこと言われる中で、よくぞこんなに健やかに子育てを…と尊敬しました。
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初めてのTV出演後のMattへのバッシングは、それはもう、すさまじいものでした。・・・
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当時私は怖くてつらくて、MattのインスタグラムやYahoo!ニュースのコメント欄を見ることもできなくなってしまいました。当の本人は飄々としていましたが、その後しばらくはTV番組に出れば、たくさんの批判的なコメントを大量に書かれることの繰り返しでした。
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Mattが表現したかったのは、ディズニーや宝塚のような夢の世界、非日常感のある華やかなものが、感動を人に与えるのだと、昔から信じているところがありました。夢とか魔法のような、現実にはない夢の世界を演出したいと思っていたのです。だからこそメディアに出るときはキャラクターのような、非日常的な、あのメイクが当時のMattには譲れなかったのでしょう。
バッシングにさらされる中、夫も周囲の方々からいろいろ言われたようで、「Mattは大丈夫か?」と心配して私に聞いてきました。だけど、Matt本人は依然ケロッとして「大丈夫だよ」と言うばかり。
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そんな日々を過ごしていましたが、とうとう私自身が苦しくて我慢できなくなり、Matt本人に自分の不安な気持ちを意を決して伝えることにしました。
他の家族がいるかもしれないリビングでは話しにくいかも……と思ったので、落ちついて話ができるよう夕食の後、Mattをリビングとは別の部屋に「ちょっと来てくれる?」と呼びました。
「ねえ、本当に大丈夫?ママ、あのネットの書き込みにはさすがに凹んじゃうんだけど」と、偽らざる気持ちを伝えましたが、返ってきたのはなんともたくましい答えでした。
「このビジュアルでTVに出たら、叩かれるのは当たり前だよ。バッシングだって想定内だよ。だいたい、僕のインスタグラムに書き込むってことは、わざわざ検索して僕を見にきてるってことじゃん。つまり僕に興味津々ってことでしょう?そんなのほぼ〝好き〟と一緒。
それにね、こんなことに負けてたら芸能界にいちゃいけないと思うんだ。僕はTVに出ると決めたときから、この程度のバッシングは覚悟していたから大丈夫なんだよ。これくらいで凹むなんて、ママこそやっていけなくなっちゃうよ!」
と逆に私が励まされる始末でした。
さらに「もし、この後、TVに出られなくなったとしても大丈夫だよ。今はSNSもあるから発信する場がすべて取り上げられちゃうこともないしね」とも。
ああ、いつの間にか、この子はこんなにも強くてしなやかに成長していたんだなと驚きましたし、嬉しかったです。
我が子に傷ついてほしくないし、失敗もしてほしくないと願うのが親心。だけど、先回りして失敗しない道ばかりを示していたら、その子の成長も止まってしまうし、将来の道筋だって限定されてしまいます。
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・・・子どもを大きく成長させるためには、そこをぐっとこらえて見守り続けるというのも親の大事な仕事だと、その日あらためて痛感しました。
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常にブレず、自分の信じた道を進み、批判されても壊れない強さ。これは父親譲りかもしれません。夫はプロ野球選手として、長年厳しい勝負の世界に身を置いてきました。それに加えてこれまでに野球以外のことで、かなりの長い期間、世間からバッシングを受けたこともありまして、それはもう大変な騒ぎでした。
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・・・結婚当初は怖くて怖くて、生まれたばかりの長男を散歩させることすらできないほどでした。だけどそれでも当の夫は、感情的になって声を荒らげることもなく、バッシングについても必要最低限のことしか発言せず、家庭内で私たち家族にキツくあたることもなく、黙々と真摯に野球と向き合い、そこで結果を残すことに注力していました。
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家族で出かけた際のことです。Mattが車の中でなにやら難しい顔をしてスマホを操作しているので「どうしたの?」と聞いたら、「週刊誌の人に事実と違うことを書かれたりしてるからメールで訂正しようと思って」と言うのです。私は「ダメよ、消しなさい!」とただオロオロすることしかできなかったのですが、夫は「もちろん事実と違うことを書かれたり言われたりすれば腹も立つ。パパも同じようなことがあったからMattの憤る気持ちはよくわかるよ。だけど、そんなふうに反応するのは違うんだよ」と理性的に諭してくれました。
・・・夫の言葉が響いたようで、挑発的な表現ではなく、自分の考えを説明する投稿をSNSやブログにアップするにとどまりました。
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TVに出始めたころには、ジェンダーを揶揄するような〝いじり〟を受けることも少なくありませんでした。Mattはかなり凝ったメイクやネイルをしてはいますし、美容にも詳しいしお手入れも好き。女性になりたいわけではなく、デビュー前には可愛い彼女もいました。
彼の求める姿は常に流動的で、そのときに表現したいことを心のままに表現しているだけなので、誰かの考えた枠には、決してはまろうとしません。いつだって彼は〝ありのまま〟なだけなんですよね。他人がどうこう言っても絶対に聞かないし、曲げないんです。
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もうひとつ。私たち夫婦がものすごく嬉しかったエピソードがあります。それは長嶋茂雄さんがMattのことを「いいね」と言ってくださったこと。・・・〝ジャイアンツ85周年メモリアルウィーク〟に夫が出席したときのことです。・・・控え室でMattのことが、話題に上ったそうなのです。
その際、長嶋茂雄さんが夫に「桑田!あの子はいいねえ。あのまま伸ばしてあげなさいよ」と言ってくださったというのです。
帰宅後、夫はすごく嬉しそうに「まさか長嶋さんが、Mattのことを見ててくれたとは思わなかったよ」とずっとニコニコしてました。
ところで数日間ブログをお休みします。
いつも見てくださってありがとうございます(*^-^*)