こころの声

好きに食べたい

 こちらは「オーダーって不思議」というタイトルのお話です。

 

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 レストランでのメニュー選びについてお話しさせていただきたい。

 オーダーって不思議なのだ。

 特に混み合っているお店などで、ホール係の方が来て、何を食べるか決まっていないときなど、突然、やぶれかぶれな気持ちになって、どうでもいいものを選んでしまったりする。

 その点、うちのつれあいなどは、非常にマイペースで、どんなに店が混んでいようとも、メニューをたずねられてからもホール係の方をお待たせして、存分に迷い、熟考に熟考を重ねた上、冷静沈着に「きつねうどん」と頼んだりする。正直隣で「はよせんかい」とやきもきしつつも、これくらいマイペースでもいいのかもと感心する自分もいる。

 わたし自身、どんな決定も割合早い方だ。メニュー選びでも、基本、揺れない。

 だが、係の方が来てくださる瞬間に、思っていたのと違うものを選ぶことがある。しかも、どうしてもメニューが決まらないときには、先に店員さんを呼んでしまうことでさっと決まることだってある。

 さて、みなさまに告白したいのはここからの話だ。しょっちゅうあることではないのだが、口でいったオーダーよりも、こころに浮かんだオーダーが厨房に通ることがあるのだ。

 例えば、喫茶店に入り、こころの中で「クリームソーダを頼みたいな」と思ったとする。ところが「着色料がすごいし、甘いし、冷たいし、ここは健康のことを考えて温かい紅茶にしておこう」と考える。そして「紅茶、ストレートで」とオーダーする。すると、ホール係の方がクリームソーダを運んでくる。

 これが、一回や二回ではないのだ。あと、オーダー自体もよく間違われる。でも、訂正せず、出てきたものをいただくようにしている。それが自然の摂理にあっている気がする。

 逆のケースもある。ある人気の中華料理店で夫とチャーハンを頼んだ。だが食べながら「ああ、担々麵も頼んで、半分ずつ分ければよかった」と思った。ら、その五秒後。「担々麵の小、サービスです」と担々麵が出てきた。「小」まで当たっている。本当に不思議。

 先日なんて、また同じ店へ夫婦でランチをしに行った。夜のメニュー表を読んで待つ。(イノシシのシューマイかあ、珍しいなあ)。そう思ったら、五分後「はい、シューマイ」とその通りのものが出てきた!また⁉と目を白黒させていると、シェフが「服部さん、結構、大きな声でシューマイ食べたいなあって話してましたよ」ですって。

 こころの声かと思っていたら、実際に声に出して訴えていた。