偶然には感動がある

好きに食べたい

 毎日新聞の連載、3連チャンかと思ったら、なんとこちらの本も。

 読み終わって気づいて驚きました。4連チャン(笑)こういうシンクロもあるのですね(;^ω^)

 服部みれいさんのエッセイ、共感するところが多かったです。

 こちらは「携帯やめたらカレーに会えた」というタイトルのお話です。

 

P26

 夏の終わり、携帯電話を解約した。

 もともとスマホは数年前に解約していた。自分には合わないと早々に判断したからだ。その後PHSにした。小さくて、機能も最低限のものしかない。自分に合っていた。

 しかし、美濃に会社ごと越してから、携帯電話を本当に使わなくなってしまった。そもそも生活の中に待ち合わせというものがない。誰かに会いたければ家に直接行けばいい(驚くことにアポなしで訪問してくる人が実に多く、わたしもだんだんそうなってきている)。

 先日、携帯なしでの東京出張を体験した。だいたいわたしの携帯はもう鳴ることがほぼなかったのだけれど、どこにいても突然携帯が鳴ったり、誰かにつかまったりしないのははっきりいってものすごく自由だった。清々しいことこの上ない。

 出張の初日は基本オフにした。朝まず訪れたのは、大好きなショップ「QUICO」のガレージセール。のびのびとした気分で掘り出し物を見つけ、お店を出ようとしたら!なんと店先で、仕事仲間のカメラマン尾嶝太さんとスタイリスト鈴木えりこさんご夫妻に会ったのだ。驚くのはここからだ。お二人は、たった今、わたしの噂話をしていたという。わたしの話をしていたら、QUICOからヌッとわたしが登場して、鈴木さんなどは、「どうして?どうして服部さんがQUICOから出てくるの?美濃にいるんじゃないの??」といつまでも叫んでおられた。

 時間は自然にお昼時になって、誰からともなくランチをご一緒しましょうということに。尾嶝さんの運転で、青山通りの某ビル地下にあるカレー屋さん「ハブモアカレー」へ。実は尾嶝さん、カレーの本を出版できるんじゃないかというくらいのカレーマニア。おいしいお店を知り尽くしておられるのだ。その中でわたしに合うお店に連れて行ってくださった!なんたる幸福!ハブモアカレーは、とっても愛らしいお店だった。ランチプレートを頼むと中央にサフランライスが丸く盛ってあり、その周りの四つの小ボウルに4種類のカレーが載ってくる。わたしは四つとも野菜やお豆のカレーにする。これがおいしいのなんのって。素朴で実直でシンプルな味。特に奥行きのある味と思ったダル(豆)カレーは、聞けば、干しゴボウと干しシイタケを使ってあるとか。ぜひ今度マネしてみよう。

 ネットやSNSの情報もいいが、こんな偶然には感動がある。なお出張中、携帯なしでもすべて滞りなくうまくいった。人間検索エンジンもバカにならない。

 携帯なし生活、これは快感になりそうです。