90代後半になってこんな風に気持ちが元気でいられたらいいなぁ・・・と憧れてしまいました。
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長生きには姿勢も大切です。
背中が丸くなると目線が下を向き、気持ちまで縮こまります。いくつになっても背筋を伸ばして、前を見て歩きたいものです。そのために、私は仕事から帰ってくると、必ずお茶の間の柱に背中をつけるようにしています。続いて、頭、肩、お尻、かかとをつけていくのです。全部がついた姿勢で、30秒間がんばって立ち続けます。やってみるとわかりますが、はじめから全部がぴったりつく人は少ないと思います。私も頭がなかなかつきません。亭主から、「師匠、頭がついてませんよ」「あごが出ていますよ」といちいち指導が入るのはしゃくなんですが、体も気持ちもシャキッとして、自信につながります。
それから歩くことは大事です。早くしっかり歩くためにはコツがあります。「足を出す」と思わないことです。足ではなく「腰を前に突き出す」ようにするんです。
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この間、物置として使っているマンションに置いてある和箪笥をひさしぶりに開けたら、一度も袖を通していない着物が何枚も出てきました。亭主が、
「これ、いつ着るんですか」
と聞くので、
「地味だねえ。年を取ってから着るわ」
と素直に答えたら、ちょっと間があって、二人で大笑いしました。
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百歳に近くなれば、ものを忘れることもたびたびあります。でも、忘れても頭を使って思い出そうと努力する。寝つけないときも、布団の中で自作の「決め字都々逸」を考えます。
たとえば、いろはにほへとの「ほ」なら、「本気で言われりゃ 本気で聞くが、本気にゃ聞こえぬ ほめ言葉」というように、「七・七・七・五」の頭文字を「ほ」にして作句します。ボケ防止にもなるし、羊を数えるよりも眠りやすいと思います。