似たテーマの本で、こちらも読みました。
矢部太郎さんのイラストもかわいくてよかったです(^^)
P19
年を取ると、新しいことをするのが億劫になるかもしれません。それに、いまの若い人たちの世界はわからないことだらけ。でも、やってみると意外に楽しいし、わからないことは聞けばいいんです。
私は、新しいことを始めるのに、あまり躊躇しません。勧められれば一応やってみるし、求められれば断りません。やってみなければよしあしの判断がつかないし、やってみて嫌だったら、次から断ればいいのです。
私は絵を描いて個展を開いたり、漫才協会のカレンダーなんかに使ってもらったりしていますが、これも習ったわけでもないし、始めたのは50歳を過ぎてからのことで、本格的に描き始めたのは80歳を超えてからです。
ツイッターを始めたのも87歳からです。
以前、私は、新聞に折り込まれてくる広告紙の裏に自分でマス目を引いて200字の原稿用紙を作り、作文を書いていました。それを見ていた亭主が、「師匠、ツイッターをやってみませんか」と勧めてきたのが始まりです。
「なんだね、そりゃ」と聞くと、140字以内でなんでもいいから思ったことを作文すれば、私が打ち込みますよと言うので始めました。
パソコンだのケータイなど、私にはちんぷんかんぷんなので、文字を機械に打ち込むのは亭主で、私はつぶやくのが担当です。
ありがたいことに、私のつぶやきを見てくださる人がどんどん増えて、いまでは50万人近くになっているそうです。
私がなにかをつぶやくと、50万人近くに知れ渡るというわけですから、毎日、「こんなことって、世の中、おかしいんじゃないの!」と思うことや、その日に起こった身のまわりのことなどを腹を据えてつぶやいています。とはいえ、道理に合わないことを「おかしいよ」と言うのは、ふだんのままの私です。
世の中に対して言いたいこと、語り伝えておきたいこと、私ごとで白状したいこと、そして新聞や雑誌などにまだ書き表していないことがらなど、日々浮かんでくることをこれからもつぶやいていこうと思っています。
毎日、気が利いたことをつぶやくのは大変だけど、テーマを考えるだけでもおもしろいし、ボケ予防にもなります。
世の中には、まだまだ私が知らないことが山ほどあって、それらを知ることは楽しいし、始めてみるとおもしろいことが多い。長生きはするものです。
趣味だけでなく、コーヒーを好きになったのも90歳になってからです。それまでは日本茶以外の飲み物は口にしなかったし、打ち合わせで出されたコーヒーにもちょっと口をつけるだけでした。
ところが、亭主が勉強して、豆から挽いて淹れてくれたコーヒーがほんとうにおいしかったので、それ以来、家ではコーヒーを飲むようになりました。
私は、これからも新しいことをやったり、おいしいものを食べたいと思っています。
お年寄りの中には、「もう年だから」と新しいことに向き合うことに消極的だったりする人が多くいます。
何歳だから可で、何歳だから否なんてもんはないし、「年相応に」などと考えていたら、やれることまでできなくなります。
生きているうちは好きなことを見つけて、やりたいことは年齢に関係なく始めればいいんです。
日々の楽しい暮らしに秘訣というほどのものはありませんが、知識を増やしたり、新しいことに向き合うことは楽しいものです。
気が向かないことを始める必要はありませんが、ちょっと興味があったり、気になることがあるのなら、やったほうがいい。やってみたら意外と簡単だったり、おもしろかったりすることもあるはずです。
食わず嫌いは、自分のためになりません。