土つながりで

プロフェッショナル仕事の流儀 壁を打ち破る34の生き方 (NHK出版新書)

 分野が全然違いますが、何か合わせて印象に残ったところです。

 場所が合っている、とか、嘘がない、とかが、共通しているような?

 

ガーデンデザイナーのポール・スミザーさん

P162

 スミザーさんの庭作りの哲学は極めてシンプルだ。植物の性格に合わせて居場所を用意すること。強い直射日光に耐える我慢強いものを日なたに、逆に日光が少なくともしっかり育つ優等生を日陰に。それぞれの個性を活かせる環境を徹底的に選び抜いていく。

「植物本人の〝本音〟が聞きたいんだよね。たとえば、どちらかと言えば私は陽当たりのいいところがいいとかね。植物と話ができたら、〝あなたはほんとうはどういうところを好む?〟って聞くと思う。生き物はみんな一緒だと思うよ。植物も人間も場所さえ合っていれば生きることができるよね」

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「庭を作っているときに、〝やっぱり海外の植物って綺麗よね〟って言われることがある。〝これは日本の野草で、そこの山にも生えていますよ〟って言うと、あんまり信用されてないような顔をされて会話が終わってしまう。自分が雑草として踏んでいたものが庭に植えられているだなんて想像もしないからね。でも生き生きしている植物は、ほんとうに綺麗に見えるんだよ。注目してあげれば、簡単に気づけるはずなんだよ」

 

 

第六十九代横綱 白鵬翔さん

P244

 白鵬は毎日、寸分違わず基本の稽古を繰り返すことにこだわる。股割りから、ゆっくりとした四股、さらに鉄砲から摺り足。一定のリズムを守りながら、たっぷり一時間かけて行う。稽古場での白鵬を見ていると、あることに気がつく。それは、ちょっとした移動の際でも常に摺り足である点だ。

「土俵から足が一ミリでも離れれば、その取組の流れが変わってきますから。常に、たとえ親指だけでも土にくっついている。小さいことかもしれないけど、そうした日頃の積み重ねの結果が本場所で出ると思うんです。稽古の基本基礎、これは当たり前。〝嘘のない稽古〟っていうのかな。今日という日は二度と来ないわけですから、けっして力を抜かない」