偶然を信じる

考えないヒント―アイデアはこうして生まれる (幻冬舎新書)

 波にのる、いい運気と共に流れていくには、こういうことが大事だな~と思いました。この本では、偶然力という言葉で解説されています。

 

P140

 偶然力を鍛えようと思ったら、まず、観察だと思います。

 ほんとうは、アイデアの種は誰のまわりにもたくさん散らばっているのに、みんな見逃しているんだと思うんです。

 それから、とにかく人に話しかけること。これも、偶然力を鍛える格好のトレーニングになります。

 先日も、ラジオの収録をやっていて、相手はアメリカ人の女の子なんですが、彼女の好きな、クリスピークリームドーナツというのが日本に今度来るというので、大喜びをしていたんです。

「私、大好物よ」

「そうなんだ、おじさん興味ないからそういうこと」

 十九歳の女の子との会話ですから、収録のときはそれで終わりました。

 その収録のあと、別の食事会があって、隣に座った人と話をしたんです。

「あ、どうも初めまして」

「何の仕事をするんですか」

「今度ねドーナツ屋やるんですよ」

「なんてドーナツですか」

「クリスピークリームドーナツです」

「!今、ニ十分前にその話をしていたんですよ」

 それがきっかけで、オレンジ・アンド・パートナーズの話をしたら、

「あ、それ、きっといろいろ頼みたいことが出てくると思いますので、遊びに来てください、オフィスに」と言うので、オフィスに遊びに行った。

 行ったらその会社の一周年パーティーの日で、「よかったらこのあとパーティーやりますから来ませんか」と誘われ、ちょっと立ち寄ることにしました。

 顔を出したら、ゲストのほとんどは家族連れ。肩身が狭いなと思っていたら、そこにちょうど超大物アーティスト夫妻が来たんです。その会社のもう一人の代表が夫妻と友だちということでした。

 お二人とは僕も知り合いだったので、「お久しぶりです」と挨拶し、

「今日、実はカワムラというなかなか予約がとれないステーキ屋を事務所で借りきって、そこで食事会をやるんだけど、ちょうど二席空いているからサプライズゲストとして来ませんか」

 と誘ってみたんです。ダメモトで声をかけたのですが、ラッキーなことに二人の予定が空いていた。

 そこで、N35のスタッフには「今日はサプライズゲストが二人来るから」と言って、来たのが超大物アーティスト夫妻。もちろん、みんな、すごくびっくりしていました。

 クリスピークリームドーナツが、大物アーティストに化けた(笑)。これも偶然の連鎖以外の何ものでもありません。

 だから、偶然を信じるというのは大切だと思うんです。僕はいろいろなところで、驚くような人との出会いをよく経験して、人に話すと作り話だろうと言われるんですが、これも僕が偶然の力を信じているからなんです。

 今目の前で起きている偶然に思えることを、すべて必然と思えるかどうか。

 偶然力を一番鍛える方法は、自分には偶然力があると思いこむことだと思います。