人は経験を栄養にして育つのだなぁと思いつつ読みました。
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最近、学生たちから尋ねられることが増えた相談があります。
「人生の目標って、どう考えればいいんですか?」
細かな部分は差がありますが、学生たちの話の本質を抜き出すと、この疑問が強いのです。
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・・・私からのアドバイスは、
「目標は、自分自身のためにあります」
ということ。目標を達成することで自分が何を得られるか、を考えるべきです。
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よく、ボランティアの現場で「私は他人を幸せにしたい」という人たちがいます。ボランティアに取り組む姿、そして他人を幸せにする行為は素晴らしいと心から思います。
一方で、ボランティアをする過程では、自分自身が得ているものを、ないがしろにしてはいけません。ボランティアによって得られる満足度や充実感こそボランティアの原動力になっていることでしょう。
ボランティアに限らず、仕事でも趣味でも人生の中で他者と関わり、他者に貢献していくことは不可欠ですが、まずは「自分が主役である」という意識が基本となります。
なぜなら、他人のために自分を犠牲にする発想を持たないでほしいからです。
あなたは、いったい何に満足するのか。
この基本をわきまえていないと、周りに流されてしまうだけになります。
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私自身、学長になることを目指して生きてきたわけではなかったからです。
マリで暮らしていた頃から、私は将来の自分がどうなるのか明確にイメージしてはいませんでした。
日本に暮らすなんて想像していませんでしたし、大学の学長になるという思いも寄らないコースを歩むことになりました。
ただ、一つだけ心がけていたことがありました。
一分一秒を大切に過ごすということ。
とにかく遊びも含めた学びの姿勢を重視し、あらゆる機会を通じて、いろいろな経験を積み重ねてきました。