人生を生ききる

絆創膏日記

 読んで、心が鎮まるというか、地に足がつくというか、そんな感覚になりました。

 

P267

 積み重ねている日々を、昨日の繰り返しのように感じる人は多いのではないだろうか。

 小さな出来事に一喜一憂したり、たまに起きる大きな変化に慌てふためいたりしながら、僕の毎日は過ぎていく。時々は昔のことを振り返り、古い心の傷をながめ、涙を浮かべることもある。うれしくても、悲しくても、些細なことで心が揺れ動いてしまうからだ。

 気持ちを言葉にすることで、悲しみから救われた経験をしたことはないだろうか。

 言葉が自分に与える影響は、少なくないと思う。

 心を癒す。それは、辛い気持ちにふたをすることではなく、傷を負った部分をもう一度見つめ、自分自身を慰めることに違いない。

 ・・・

 人は誰でも、こうであったらいいのにという理想を思い描きながら、自分の人生を生きているのではないだろうか。

 夢を実現するために、何が必要なのかを繰り返し自分に問い続ける。

 行動面にばかり気持ちは向くが、本当に大事なのは、物事の捉え方ではないかと考えることがある。悲しみや苦しみは、今起きている出来事を、自分の心の中で、どのように消化していくかで、幸せにも不幸にもつながるような気がするのだ。

 僕が自閉症であるから気づくこと、感じることは、普通の人の感覚とは、異なっているのだろう。この先も普通の人の感性を、僕が体感として知ることはないように思う。でも、これは逆に言えば、普通の人が自閉症の物の見方や感じ方を知らずに一生を終えることと、同じなのだ。どんな人も、他の人になることはできない。自分という人間に生まれてきたことに感謝し、精一杯人生を生ききることが使命なのだと思う。