望みを持って(池袋カウンセリングセンター移転について)

生きるとは、自分の物語をつくること

 

 傍にいること、というテーマのお話です。久しぶりに望みと光の話も読みました(笑)。

 ところで、昨年春先の緊急事態宣言の時に、勤務先の池袋カウンセリングセンターが、諸々の事情で市ヶ谷に移転して、名称も「市ヶ谷カウンセリングセンター」になりました。

 新しいHPはこちらです→ https://icc.himorogi.org/

 古いHPが残っていなくて「移転しました」という情報が、ネット上検索してもなかなか見つからないことに気づき、せめてちょっとここに載せておこうかと思いました(;^_^A

 ではでは、本に戻りまして・・・

 

P112

河合 カウンセリングは、ちゃんと話を聴いて、望みを失わない限り、絶対大丈夫です。でも、例えば「先生、次は学校行きますよ」「嬉しい、良かったね」っていうやりとりが何度もあっても、やっぱり行けない。・・・「アカンかったわ」と言われた時に、こちらがちゃんと望みを持っていることが大事なんです。

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「行けなかった」と言った時「でも行けるよ」って言うたら、行けなかった悲しみを僕は受けとめてないことになる。ごまかそうとしている。「そうか」と言って一緒に苦しんでいるんやけど、望みは失っていない。望みを失わずにピッタリ傍におれたら、もう完璧なんです。だけどそれがどんなに難しいか。

 

小川 日常の中で、何気なく人を励ましてるつもりでも全然励ましたことにはなってなくて、むしろ中途半端に放り出してるってことがあるんでしょうね。

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河合 そういうことです。だから僕らは「頑張りや」は言わんと別れるんですね。「あなたが持ってきた荷物は、私も持ってますよ」っていう態度で別れる。

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小川 強くもなければいけないし、弱さもわからなくてはいけないし。

 

河合 根本的には、やっぱりすごく強くないと駄目ですね。

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河合 ・・・しかし、ようそれだけ物語が出て来るなあと、感心する。ご主人に愚痴をこぼされていると言われてましたが。

 

小川 もう書けない、駄目だって、いつも言ってますよ。

 

河合 言うの趣味みたいになってきますよね。言わないとおもろうないものね。阪田寛夫さんは、「もう駄目だぁ」って言うのが口癖やった。阪田さんが倒れて、駆けつけたお嬢さんが、部屋から出てきて「お父さん、大丈夫だわ」って言った。「どうして」と聞くと「もう駄目だぁ」って言ったって(笑)。

 

小川 一緒(笑)。

 

河合 「望みがない時にどうするか」という有名な話。僕は「望みを持ってずっと傍にいる」ことが大事だってさっき言いましたが、「望みがない時はどうするんですか」って聞かれたんです。すると僕の目の前におった人が「のぞみのない時はひかりです」。みたらね、新幹線の売り場なんです(笑)。あんまり感激したから、「あっ、のぞみの次はひかりだ」って言うたらね、向こうはびっくりして、「こだまが帰って来た」って(笑)。僕はこういう話するのが大好きなんですよ。毎日やってます。

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 ・・・こだまとやまびこの差は知ってますか。東京駅で「おーい」って言うて、東北の方から「おーい」って返ってくるのが「やまびこ」、関西の方から返って来るのを「こだま」って言うの。