ぜんぶ、すてれば

ぜんぶ、すてれば

 中野善壽さんの考え方が書かれた本、興味深く読みました。

 

P4

 中野善壽、七十五歳。

 伊勢丹、鈴屋で新規事業の立ち上げと海外進出を成功させる。

 その後、台湾へ渡り、大手財閥企業で経営者として活躍。

 二〇一一年、寺田倉庫の代表取締役社長兼CEOに就任。

 大規模な改革を実施し、老舗の大企業を機動力溢れる組織へと変貌させた。

 その手腕と独自の考え方、そして人柄により、各界の著名人に慕われている。

 一方で、メディアにはほとんど姿を現さず、

 社員にさえ、本当に実在するのか疑われていた、異端の人物。

 その生き方の根幹にあるのは「何も持たない」こと。

 家や車、時計は持たない、お酒もタバコも嗜まない。

 お金も若い頃から、生活に必要な分を除いてすべて寄付している。

 何も持たないからこそ、

 過去に縛られず、未来に悩まず、

 今日を大切に生きることができる。

 本書は、中野氏の話を聞くことにより浮かび上がった

 現代を前向きに、楽しみながら生きるためのヒントを

 短い言葉と文章にまとめ、紹介する。

 

P8

 僕が何より伝えたいのは、「今日がすべて」という言葉です。

 情報が多く、将来のことも、周りの人も気になる時代において、

「今に集中する」のはどんどん難しくなっているのかもしれません。

 しかし、事実として、夢中になって楽しむことができるのは今しかありません。

 今この瞬間、ここにいる自分をもう一度見つめてみる。

 過去にとらわれず、未来に揺さぶられず、

 確かに味わうことができる今日に集中して精一杯楽しむ。

 その結果は、先々にいろんな形となって巡って来るはずです。

 明日地球が滅びるかもしれないし、誰かをあてにしてもしょうがない。

 自分を花開かせることができるのは、自分自身に他ならない。

 すべては因果応報。将来をつくるのは、今日の自分。

 今日の自分を妨げるものはぜんぶ捨てて、

 颯爽と軽やかに、歩いていこうじゃありませんか。