旅立ち方

あなたは「死に方」を決めている

「あなたは『死に方』を決めている」という本を読みました。
このタイトル、ちょっと北斗の拳を思い出してしまいました(笑)
医師の川嶋朗さんや、チャプレンの沼野尚美さんとの対談も載っていて興味深かったです。
こちらは沼野さんとのやりとりです。

P232
沼野 最初は目に見えないものを一切信じなかったり、死について考えることを拒んでいたりした患者さんのなかにも、死期が迫ると科学では解明できないような摩訶不思議な体験をされる方が少なくないのです。たとえば、「沼野さんの横の椅子に黒い服を着た人が座っている」というようなことをお話になったり。私には視えませんから、最初は背筋がゾ〜ッとしていたのですけど、「黒い服の人が来ると安心する」とおっしゃるので、そういうこともあるのかと、病める方の不思議な体験を大切に心にとめるようになりました。

江原 お迎えにみえていたんですね。

沼野 ええ、たぶん。ある女性は亡くなったご主人が病室に現れたと。そして「寝ている私が言うのもヘンなんだけど、腰が抜けるほど驚いた」と話されました。

江原 ワハハ!

沼野 ご主人がいるところには雪が降っていて、そのなかで何も言わずニコニコなさっていたそうです。不思議と怖くはなく、懐かしかったと言いながら、夫婦で過ごされた日々のことを話してくださいました。・・・

江原 ・・・沼野さんが見てこられた患者さんのなかには、臨死体験をなさる方も大勢いらっしゃるのでしょうか?

沼野 はい。不思議なことに臨死体験をされた方のほとんどが、死への恐怖を感じなくなる。しかもお話を聞いてみると、美しい風景だったから気持ちがよかったとか、心がなごんだとかおっしゃるのです。

・・・

江原 ・・・なかにはユニークな話も紹介されていましたね。たとえば「田中さん」の話など(笑)
 
沼野 ええ。ホスピスに入院なさっていたある患者さんに「誰かに会いたいですか?」と尋ねたら、「田中さん」とおっしゃったので、急いで家族の方に連絡をしたら「明日、連れていきます!」と。翌日、来たのは猫でした(笑)。・・・もっと猫らしい名前にしてよ、と思ったんですけどね。とにかく田中さんはベッドのなかに入ったまま、何をしても出てこなくて。結局、そこにそのままいたのです。その晩、患者さんはお亡くなりになりました。家族の方が「私たちは看取れなかったけれど、田中さんが一緒にいてくれたから故人は本望だったでしょう」と話しておられたのが印象的でした。・・・最近はペットたちが大活躍しています。