生きるということは愛すること

ただの私 (講談社文庫)

 一九八四年のインタビュー。なんというか・・・迫力を感じました。

 

P182

Y・O 芸術的なロックは確かにあるけど、ロックの商業的な価値というのは、稀少価値ではなくてたくさん売れることにあるわけです。

 たとえば彫刻で、この一つしかないということに価値がある。またヴァン・ゴッホの絵でも、いまやヴァン・ゴッホの絵は数は決まっているから、一枚の絵が何千万円とか、何億円とかする。そういう稀少価値ではなくて、ロックの商業価値である数で売れるということは、大多数に共通する何かを持っていることで、歌でも、LOVEという言葉を使えば、売れ数が変わるとか、言葉でもシンプルな言葉を使えば、使うほど売れ数が変わる。そういう最大指数を持っていなければ、商業価値がない。

 だから、ジョンも私も、世界で一番の、日本語で言うとおかしいけど、We are the biggest whore in the world(私たちは世界最大の売春婦)と言っていた。それだけ多くの人たちとMake loveすることです。

 最大指数って言ったけど、最低限の人間に共通するアピールを持っていることですね。それはセックスだと思う人もいるだろうけど、セックスができない人でも持っているものは、お互いを愛し合うということです。

 お互いに愛するとか、自分を愛するということ、自分を愛するということは、生きるということを愛すること、人生を愛すること、生命を愛すること、生命を愛してなければ、生命を殺してしまうことでしょ。

 生きるということは、結局、自分を愛することなんです。自分を愛せなかったら、生きないということになるんだから。自己愛というものが、他人愛につながっていることは何かといえば、自と他というものはそんなに区別がないわけだから、他というのは、自分のイメージみたいなものだから。自分がわかれば、他人もわかる。でも、自、他じゃないんですね、結局。

 私たちはみんなつながっているから、大きな一個の自己なわけでしょ。だからそういう意味で、ラブというのは、私たちは、最大指数だと思っています。

 ・・・私たちの一番の生命力はセックスではなくて、精神的な愛というものにあると思っているわけです。だからその次元で、コミュニケートしようと思っています。