感謝の電話

人類最大の秘密の扉を開く ソウル・オブ・マネー 世界をまるっきり変えてしまう<<お金とあなたとの関係>

この話も印象的でした。

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 私の母の死期が近づいていました。彼女は、87歳で、5月に末期がんを宣告されていたのです。・・・彼女は、自分の家、庭、家族、親しい人々、愛する人々やこの地域に感謝すると同時に、いま、この瞬間を生きながら、残された人生を過ごすことに決めました。
 ・・・
 ・・・母は、彼女にとって重要な近所の人たちに感謝したいと言いました。こうした人間関係を、母は豊かな財産とみなしており、いかに彼女が彼らを大切に思っているかを、その人たちに知って欲しかったのです。
 彼女は電話帳を取り出すと、ページをめくりました。彼女は私に、クリーニング店に電話するように言いました。私がダイヤルすると、母は受話器を取り、マネージャーと話がしたいと言いました。・・・母は話しはじめました。
「ケン、私は、テニ―です。私はもう死期が迫っていて、9月にはおそらくこの世を去っているでしょう。私は、自分の人生をとても特別にしてくれてきたすべての人たちについて、娘と話していたところなの。
 あなたは、過去20年間にわたり、私の服をクリーニングしてくれました。私は、とても良いサービスを受けていて、あなたとカウンターの従業員から、親切にしてもらったと感じています。本当にありがとう。
 人が年老いて、もはや色々なことができなくなったとき、こうしたサービスを提供してくれる近所の人たちが、その人の人生に住む人たちであり、一日をハッピーにしてくれる人たちだということを、あなたにぜひ知ってもらいたかったの。・・・」
 それから、母は、クリーニング店のカウンターで働いている、マーシーとスーザンと話をしました。彼女たちにも、同じことを言い、どれほど彼女たちに感謝しているかを、詳細に説明しました。それから私たちは、車の修理工、薬局、配達人、母のお気に入りのショップの化粧品カウンターの女性にも電話しました。彼女のお気に入りの小さなフレンチレストランにも電話し、オーナーとお気に入りのウェイトレス、マーティンと話しました。母は、彼らと知り合えたことが、どれほど自分にとって素晴らしいことであったか、彼らにどれほど良いサービスを受けていたと感じているかを、彼らに伝えました。母はまた、ヘアスタイリスト、マッサージセラピスト、ネイリスト、彼女に食料品を配達した人たちにも電話しました。
 それぞれの会話は、非常に感動的でした。電話を受けた人たちは、驚いていました。彼らは、自分たちのサービスについて、特に死期が間近な人から、そのような感謝の言葉を聞くことに慣れていなかったのです。・・・