すべてつながっている

ただの私 (講談社文庫)

 こういう感覚を、伝わる言葉で表現できること、すごいと思いました。

 

P60

 自分の人生をこうやってふり返ってみると、私は、できるだけ自分のしたいことをやってきた。自分がほんとうにしたいことは何か―私はそれを求めて自分の気持ちになるべく忠実に生きよう、と考えてきた。

 やりたいことをやる人間は、エゴイストに思われるけれども、抑制したエネルギーというものは、ちょうど沈殿した沼のように汚いものだからだ。

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 私が目ざしているのは、もっとみんなが、自由に、幸福に、自然になれる世界だ。その念願で、私はいままで、あれやこれやのイベントをやってきたのである。いまの地球を救うのは、もはや女の力しかない。

 女の力というものは、結局、理屈をこねまわさず、自分の感覚や体に頼るということだ。体に頼るということは、包容することであり、許すということ。何かを認めるとか認めないとかということではなく、そのものを正直に愛してしまうことである。

 既成社会の権力とか地位の力に頼らずに、女の本来の力によって、人間の意識を変革していくことが必要だと思う。

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 女性たちが、偏見を取り払い、そうすることによって抑制された汚い物を頭からなくすことによって、他人を憎悪するということもなくなり、未来に対して美しい念願を投げかけることが出来るようになるだろう。

 男性社会が崩壊して、女性社会が実現したときには、女性が上に立つということではない。私たちが人間の体にもどるということだ。男のなかにもある女性的要素、母性への復元だ。

 男性社会では、自分たちがつくった箱のほうを大切にしてきたが、女性たちは体につながりのある社会、つまり人間を大切にする社会をつくり上げるはずだ。

 私は、いま、自分が宇宙とつながっているということを確信している。

 空で星がキラッと光る。何千億年昔に光ったのが、いま、私たちに見える。それと同じように、私たちが、いま、キラッと思う念願が、全部未来へつながっていく。

 私は、したがって、自分が世界中の人と、さらに宇宙にもつながっているという実感がある。そう確信することに意義を感じている。

 自分がこのまま死んだとしても、私の念願は、絶対生きていくだろうし、それは私だけのものではなく、人類の念願だと信じている。

 あるサイキック(六感の発達した人間)がテレパシーでモノを動かした。

 その男の説明が面白い。彼によれば、モノを動かすときに、どこからどこへ移動させようという気持ちでやったらだめだ、モノが自分の体の一部であり、それを体にもどすという気持ちでやれば、指を動かすように、モノを動かせるようになるというのだ。

 私たちと、宇宙は、全部つながっている、ということだろう。そして、暴力だとか既成政治などに頼らずにテレパシーによるサイキック革命ということが可能だということを私は考えている。それが本当の人間革命だと思う。

 人間が、実際に自然の力に目を向け、そして未来の感覚をとりもどせば、素晴らしい社会がやってくるにちがいない。

 私は、その新しい未来のことを思うと、それだけで興奮した気持ちになる。いまから私の人生がはじまるような感じさえしてくる。

 最近、私の髪の毛にも白いものが混じってきた。ロマンス・グレーというのは、このことだろう。

 それで私はその白髪を抜かずに大切にしている。鏡を見ると、自分が可愛くて仕方がない。「可哀そうに苦労したね」と言ってやりたくなる。苦労が如実に出てる顔だ。「宇宙とつながってるだけならいいけど、社会とつながってるから、それで苦労するんだよ」、人間っていうのはみんな本当に可哀そうで、可愛いものだと思う。女も可愛い、男も可愛い。どんなに苦労して、したいだけのことをしても、明日死んじゃうんだから、あっけないものだと思う。そしてお互いに愛し合ったりして苦しんでる。

 ―どんなにつらくても、そのために社会から中傷されようとも自分のしたいことをする勇気を、いつまでも失わないようにして下さい―それがジョンに対するいまの私のメッセージだ。