そういう世界観

2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社 e-SHINSHO)

 この世界観、考え方、いいなーと思いました。

  

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生徒12「300人いる中から何人か、将来すばらしい方が出てきてもらえればって言ってたんですけど、逆に、もしかしたらこの300人の中で10年後、路頭に迷って新宿駅で夜寝てたり、生活保護を受けたり、そこまでいかなくても起業で失敗したり、就職が決まらない人もいると思うんです。そういう、市場でボコボコにされた人に対して、瀧本さんはどういうアドバイスを与えますか?」

 基本的に僕は、生活保護とかベーシックインカムとか、その手の施策を強化するのはいいことだと思っていますが、今の質問は、みんな誰もが成功するかもしれないけど、同時に誰もが失敗するかもしれない、っていうことじゃないですか。

 なので、この中からもし成功する人が出てきたら、「自分はたまたま成功したにすぎない」と思って、隣の席にいる、同じように才能があった、たまたま失敗したにすぎない人を助けてあげてください、っていうのが僕の答えですね。

 そういう世界観で、僕は生きてますんで。はい。

 ・・・

生徒15「うかがいたいのは、瀧本さんがなぜ日本を良くしたいのか、世の中を良くしたいと考えられるのか、です。一つにはさきほどおっしゃっていたように、日本が今ある意味『底値』になりつつあって、投資家的に『買い』の判断をされているのかもしれませんが、ドライな理由でも、ウェットな理由でも、お聞かせいただければ幸いです」

 僕はですね、来世がある宗教を信じていないんですよ。

 ・・・

 そう考えると、「自分の時間」という資源はけっこう有限なので、なるべくその資源を活用するようにしたいわけですよ。

 自分自身を幸せにすることに関しては、じつは達成度150%、やったーみたいな感じですので、あまり関心がありません(笑)。なので、もうちょっと自分のリソースを最大限活用するのにどこがいいかな?なるべくインパクトがあって、すごく困っているところが大逆転していちばん良くなるとか、とってもいいじゃないですか。

 ・・・みんなが「え~、なんで瀧本さん、そんなのやるの⁉」みたいな案件をわざわざやって、少数意見を多数意見に変えるっていうのが、昔からけっこう好きなんですね。

 学者とかもそうじゃないですか。みんなからバカにされていた学説が、いつの間にか多数意見になって、提唱していた学者が「ほら、俺の言ったとおりじゃん」みたいな話、僕、大好きなんです。