インパクトの強いタイトルの本、宝くじの話だけでなく、こんな選択をした人がこうなりましたという例が色々載っていました。
「おわりに」には、この本のテーマについて、このように書いてありました。
P347
・・・本書には、「人生で様々な選択をした人の末路を探る」とは別に、もう一つ、裏のテーマがあります。それは、社会や世間にうまく同調できずに悩んでいる方へのエールです。
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実際、この国に暮らす人々が持つ悩みの種の多くは、〝人と違うこと〟です。
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しかし、ここまで読んでくださった方なら、そんな同調圧力に自分を合わせることがいかにナンセンスか、お分かりいただけたはずです。会社生活も私生活も、自分がそれを望むなら、堂々と〝人と違うこと〟をやればいいんです。
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同調圧力なんて関係ない。今日から自分がやりたいことをやり、やりたくないことはやめましょう。お金なんて必要最低限あればいいんです。「宝くじで1億円」当たっても、ろくなことはないんですから。
ところでこちらは「電車で中ほどまで進まない人」はどういう人たちか、という話から始まりますが、人を動かす工夫が興味深かったところです。
P152
川西 心理学的観点から見れば、同じ「中ほどまで進まない人」でも、大きく3パターンに分類できると考えています。
奥へ行かない理由としてまず考えられるのは、単純明快、「気が利かないから」です。・・・
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・・・そもそも「気を利かせる」という能力は、必ずしも先天的才能ではありません。基本的には後天的に身に付くものです。何より影響を及ぼすのが幼少期。単純化して言えば、脳の形成期に「気を利かせることはいいことなんだ!」と強く実感する経験と記憶を数多く積んだ子は、それだけ気を利かせられる大人に育ちます。
―子供なりに機転を利かせ、周囲に気を配ったり、友達に優しくしたりしたら、親はきちんと褒めねばならない、と。
川西 ただ「ありがとう」「いい子ね」といった定型的な言葉で褒めても、大きな効果は望めません。脳は反復して起きる物事は習慣化してスルーする機能があるからです。ただ褒めるのではなく、「なぜそれが良いことなのか」「周りはどうして喜んだのか」など、〝褒める意味〟を明確化して褒めねばなりません。・・・
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でも現時点でもやれることもまだ残っていると思います。例えば、車内のアナウンスだって工夫の余地があります。
―「中ほどまでお進みください」だけではダメ?
川西 幼少期に「気を利かせる回路」が出来上がらなかった人の脳に、成人後に回路を作るには「〇〇をしましょう」という働きかけでは不十分です。やはりここでも、なぜそれをするのか、そのメリットは何なのかという「意味の明確化」が必要になる。
例えば、電車とは直接関係ありませんが、こんな話があります。ある運送会社で、社員のスピード違反が問題化していました。そこでその会社では「下げようスピード」というスローガンを掲げたけれど、ほとんど効果はなかった。しかしそこに、あるフレーズを付け加えたら、たちどころに違反が減ったんです。
―そのフレーズとは?
川西 簡単です。「下げようスピード 上げよう給料」です。
―! たったワンフレーズ加えただけですが、スピードを下げる意味が一気に明確化されました。・・・