内なる声に従う

道ひらく、海わたる~大谷翔平の素顔~ (扶桑社文庫)

 超一流と言われる方々に共通してるのは、内なる声に確実に従うことかなと思います。

 

P48

「・・・自分がバッティングでもピッチングでも日本でトップだと思っていません。そもそも、トップになったから(メジャーに)行くという発想自体がありません。僕は、日本のトップじゃなくてもアメリカへ『行ってもいい』と思っています。それは球界のためになるとも思っています。そういう考えがなければ、そもそも高校からメジャーへ行きたいとは言わなかった。絶対的な実力を日本で身につけてから行くのが普通かもしれませんし、一般的に考えると『まだ行くべきじゃない』と思うんでしょうけど。もちろん、『トップに上り詰めてから』というのは素敵だと思いますし、格好良いとも思います。でも僕は『今、行きたい』から行く。日本でもまだまだやり残していることがあると思うんですけど、それが向こう(アメリカ)に行ってできないのかと言えばそうではない。向こうでもできることがあるし、日本でやり残していることを向こうで埋めることもできる。今行くことで、今以上のことを身につけたりすることもあると僕は思うんです」

 ・・・

 これまで大谷を身近なところで見守り、支えてきた人々は、彼の「決断」をこう見ている。・・・スカウト部長である大渕隆の言葉である。

「それは、彼の内なる声なんだなと私は理解しています。たとえば、大谷が高校一年生で160キロを出すという目標設定したときは、それは一般的には信じられないことだった。でも、その目標を書いてしまう大谷。でも、本人からすれば、何となくそのときに感じるものがあったと思うんですよね。・・・本人の『内なる声』というのは、・・・計り知れないところから出てくるものだと思うんです。・・・」

 

P101

「知らないところでやるときはワクワクしますね。プロ野球の世界に入るときもそうでした。もっともっと自分よりすごい選手がいるんだろうなと思って、ワクワクしたのを覚えています。経験のないこと、知らない場所というのは、実際にやってみないとわからないものがたくさんありますし、その場所に行ってみないと自分の実力がわからないものだと思います。自分のイメージしていたものよりも低いのか、高いのか。・・・僕はどちらかと言うと、高過ぎるところを想像する性格。自分のイメージを高い場所へ持っていくところがあります。だから、自分が知らないことに向かうときって、ワクワクしてしまうんでしょうね」