映画を撮りながら考えたこと

映画を撮りながら考えたこと

 何者でもなかった頃の話を読んで興味を持って、こちらの是枝監督の本を読みました。

 とても面白かったです。

 映画がこんな風に創られるんだ、テレビのドキュメンタリーってこういう背景があるんだ、など初めて知ることばかりでした。

 一部抜粋が難しいので、ほんの少しだけ・・・

 

P330

 そういえばドラマ放映後、三谷幸喜さんと対談したときに「是枝さん、連ドラでやりたいこと全部やったでしょう。僕は連ドラでやりたいことをやったことは一度もありません。映画もそうです」と言われて驚きました。

 三谷さんはドラマや映画ではエンターテイメントとして楽しませることを意識しているので、やりたいことは芝居でしかしていないそうです。僕が「やりたいことを全部やったのですが、視聴率が低くて」と話すと、「あれで視聴率が取れると思っているんですか⁉」と叱られました。三谷さんに言われるなら清々しいというか、本望です。

 その三谷さんですが、彼はいつも取材をしないで書くのだそうです。すべて想像で書く。

 唯一取材をして書いたのが、三夜連続スペシャルドラマ『わが家の歴史』で、主演の柴咲コウさんが演じた八女政子という人物に、自分の母親の実話を重ねて書いたところ、初めて「リアリティがない」と言われたのだとか。それまで取材をせずにどんなに荒唐無稽なことを書いても、そう言われたことがなかったそうで、「唯一リアルな話を書いたら『あんな人いない』と言われてショックだった。いかにリアリティというものがいい加減かということをつくづく感じた」とおっしゃっていて、三谷さんらしい逸話だなと思いました。