大原扁理さんの感覚、とても共感するところが多かったです。
印象に残ったところを書きとめていきたいと思います。
P19
隠居生活に入ってから、ネット回線とともに固定電話を家にひいたので、携帯電話を解約してみました。
結果、連絡がとりづらくなったのか、重要でない間柄の人が自然に淘汰されていき、私のことを理解してくれる良き友人だけが周りに残りました。
私はもともと社交的なほうではないので、いつどこにいても連絡されることがなくなったり、誘いを断ったりする手間が省けるのは精神的にとても良かったです。
ただし、本を出版してから、人と会うことが増えてきて、古いガラケーをまた使い始めました。最安プランで月千円くらいでした。おかげで普通は会えないような方と会うこともできたし、これからも人生のいろんな段階で、持ったり持たなかったりを自由に選択していけるといいな、と思います。
P77
ケータイを持っているときには慣れてしまってわからないのですが、誘いを断ることもさることながら、連絡を受けるだけでも、もっと言えばいつでもどこでも連絡される状態自体が、微妙にストレスなんですよね。とくに料理中や、歯を磨いているときなんかにケータイに電話がかかってきて、作業を中断して電話に出たのに、こちらの都合も聞かずにいきなり用件を話し始める人なんか、もう腹が立ってきます。私はこういう人を、仲がいいとか、関係が深いとは思いません。
それが固定電話にしただけで、連絡する際の心理的なハードルが一段階上がるのか、大した用事でもないのに電話がかかってくることが劇的に減りました。そういえば私も、固定電話に電話をかけるときは、失礼にならないように、はじめのあいさつとか第一声を頭の中で用意していたものでした。
このハードルを越えてまで連絡をくれる人だけが、のちのちまで残っていく人です。逆にいえば、ケータイを持っていないくらいで離れていくのは、それまでの人。実際、長い付き合いの友人たちは、私がケータイを持っていなくても、台湾に住んでいても、ときどき思い出したように何かの手段で連絡をくれることがあり、東京に限らず世界中のいろんな場所で会います。・・・
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・・・自分にとって本当に大切な人を見極めて、限られた時間のうち、その人たちのために使う分量をより多くしてみよう、くらいの感覚で大丈夫。