すべての意識は変性意識

瞑想と認知科学の教室

 このお話も興味深かったです。

 

P108

苫米地 ・・・すべての意識は変性意識で、俺たちの意識は変性意識でできてるってこと。

 

―僕らは常に変性意識であり、瞑想中じゃなくても瞑想的な意識で世の中を見てるってことですか?

 

成瀬 もちろん、そうですよ。

 

苫米地 瞑想と瞑想じゃない人の違いは簡単なんだわ。瞑想してる人はコントロールしてるんだよ、自分の状態を。アクセスしたいところもコントロールするし。だけど、瞑想を知らない人は一年中、夢の中にいるわけ。だから、現実世界は生きてる人の夢なのね。つまり、人は一年中瞑想してるって言っても過言じゃないわけだ。ただ、普通は瞑想とはいわないからね。自分でちゃんとコントロールできて、遥かに時空の隔たったところまでコントロールできる状態が正しく言えば瞑想なんだよ。

 

成瀬 瞑想しているというのは、すべてをコントロールしているということですからね。全部認識できて冷静にクリアな状態になることなんですけど、瞑想するとボーッとなって気持ちいいだけっていうのが流布してるので、そこを勘違いしてる人は多いですね。それは瞑想とは言いません。

 ・・・

 

―じゃあ、瞑想を知らない僕らは見たいものをただ見てるだけってことですよね。まあ、それが変性意識なのか(苦笑)。

 

苫米地 そりゃそうだよ(笑)。勝手な煩悩が自由自在に動くわけだからさ。人の煩悩が自由自在に影響して幻をさらに幻にして生きてるわけだ、人々は。それを明晰にコントロールして一個一個見ていくのが瞑想というわけで、実は覚醒のことなのね。瞑想することで人間は覚醒するの。

 

成瀬 そう、本当にそうですね(笑)。

 ・・・

成瀬 常識的な感覚をとりあえずなくしていくといいですね。そうすると、視覚でも聴覚でも触覚でも、どこまでも広がっていきます。例えば、いま僕の目の前にあるこの箱の感じはこの箱に触らないとわからないっていうのが常識じゃないですか?でも、遠くから見ているだけでも触れる感覚ってあってもいいんですよ。それが触覚の拡大なんです。こういった拡大を五感全部で行う。それは瞑想することによって広がるわけですよ。広がるとどんなことでも可能になってくるんです。

 ・・・

 私の解釈では、五感の拡大は、実感があるということです。つまり、触覚でいえば、明らかに触れる感覚が手に生じてますね。視覚、聴覚、味覚、嗅覚に関しても同じです。瞑想力に長けてくると、触覚だけでなく、すべての感覚が拡大し、実体験として感じられるようになります。だから、瞑想で自分の意識を宇宙いっぱいに拡げるとか、宇宙の果てまで行ってくる、という表現は実感を伴った瞑想体験なんです。そこに、自分の実感があれば本物なんですよ。だから、瞑想家が瞑想して宇宙の果てまで行ってきたというのは、ただそんな気がするのとは違うんです。実感があるし、実感があれば、それはその人にとっての本物です。