こちらの方も・・・

天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常

 マーガレット・ミッチェルさんも大変そうでしたが、こちらのマレーネ・ディートリヒさんも大変そうです(;^_^A

 完璧主義をあきらめようとするのではなく、こういう対処もありかぁ・・・とびっくりしました。

 

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 「ディートリヒは気難しいのではなく、完璧主義者だった」一九三〇年代後半から数本の映画でこのドイツ人女優の衣装を担当したイーディス・ヘッドはこんなふうに回想している。

 彼女はものすごく自分に厳しく、エネルギッシュだった。一日中、くたくたになるまで働いて、ほんのちょっと休憩したら、なにかを修正するためにまた一晩中働くことができた。一度、三十六時間ぶっとおしでいっしょに仕事をしたことがある―月曜の早朝から火曜の夜遅くまで、水曜の夜の撮影で彼女が着る衣装を用意したの。[……]あのスタミナと意志の強さには驚いた。

 ディートリヒと仕事をしたことのある別の衣装デザイナーは、こういっている。「飛行機を降りてすぐ衣裳部屋にやってきて、一日に八時間から九時間、じっと鏡の前に立っていることができた。そのあいだに私たちは彼女の体の上で衣装を作った」。ディートリヒはメイクや照明や編集についても同じように完璧を求めた。それらをより芸術的に極めるコツを、監督のジョセフ・フォン・スタンバーグとの真剣な共同作業を通じて身につけていたのだ。スタンバーグ監督は一九三〇年の映画『嘆きの天使』とその後の六つの作品によってディートリヒを世界的なスターにした人物だ。ディートリヒの厳しさはプライベートでも変わらず、怠惰を徹底的に軽蔑した。「なにもしないのは罪だ。いつだってなにかしら役に立つことができる」と彼女は書いている。自宅では、料理や家事を「もっとも優れた作業療法」とみなし、全力で取り組んだ。「仕事が多ければ多いほど、ノイローゼになる時間は減る」